“釵子”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さいし55.6%
かざし22.2%
さし11.1%
さつし11.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
玉藻もきょうは晴れやかに扮装いでたっていた。彼女はうるしのような髪をうしろに長くたれて、日にかがやく黄金こがね釵子さいしを平びたいにかざしていた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
衣桁いこうの下には、脱ぎっ放しの絹の寝衣ねまきやら、刺繍枕ぬいまくらが乱れていた。すずの燭台の明りが流れている床に、珠の釵子かざしが一本落ちているのを、宋江もチラと見た風だし、婆惜ばしゃくもはっと気がついた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
柳、桜、山吹、紅梅、萌黄もえぎなどのうちぎ唐衣からぎぬなどから、鏡台のあたりには、釵子さし、紅、白粉など、撩乱りょうらんの様であった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うちかたむいた黄金の釵子さつしも美しく輝いて見えましたが、身なりこそ違へ、小造りな體つきは、色の白い頸のあたりは、さうしてあの寂しい位つゝましやかな横顏は、良秀の娘に相違ございません。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)