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釵子
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さいし
ふりがな文庫
“
釵子
(
さいし
)” の例文
玉藻もきょうは晴れやかに
扮装
(
いでた
)
っていた。彼女は
漆
(
うるし
)
のような髪をうしろに長くたれて、日にかがやく
黄金
(
こがね
)
の
釵子
(
さいし
)
を平びたいにかざしていた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ただ、
現
(
うつつ
)
と異ったは、日頃つややかな黒髪が、朦朧と
煙
(
けぶ
)
った中に、
黄金
(
こがね
)
の
釵子
(
さいし
)
が怪しげな光を放って居っただけじゃ。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わけても、新婦は、まだ
華燭
(
かしょく
)
のかがやきの
褪
(
あ
)
せない
金色
(
こんじき
)
の
釵子
(
さいし
)
を黒髪に
簪
(
さ
)
し、
五
(
いつ
)
つ
衣
(
ぎぬ
)
のたもとは
薫々
(
くん
)
と高貴なとめ
木
(
き
)
の香りを歩むたびにうごかすのだった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
玉藻が榊の枝をひたいにかざして、左に右に三度振ると、白い麻はすすきのように乱れて、
黄金
(
こがね
)
の
釵子
(
さいし
)
をはらはらと
撲
(
う
)
った。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
じっと、
俯向
(
うつむ
)
いたきりの顔は、紙のように白かった、
釵子
(
さいし
)
の光も、黒髪も、肩も、かすかに戦慄していて、そのまま、今にも失神して横に
仆
(
たお
)
れはしまいかと危ぶまれる。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
きらびやかな
繍
(
ぬひ
)
のある桜の
唐衣
(
からぎぬ
)
にすべらかし黒髪が艶やかに垂れて、うちかたむいた黄金の
釵子
(
さいし
)
も美しく輝いて見えましたが、身なりこそ違へ、小造りな体つきは、色の白い
頸
(
うなじ
)
のあたりは
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
髪にも色気狂いのような
釵子
(
さいし
)
やら
簪
(
かんざし
)
やら挿して、亭主はおろか、
股旅
(
またたび
)
でも、呑み助の暴れン坊でも、まちがえばちょいと
抓
(
つま
)
んで
抛
(
ほう
)
り出すなどお茶の子だといわれているこのおばさんにしてさえ
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“釵子”の意味
《名詞》
宮中の女官が使用した髪飾りの一種。
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(出典:Wiktionary)
釵
漢検1級
部首:⾦
11画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“釵”で始まる語句
釵