“繍”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
39.4%
ぬい30.3%
ぬひ12.1%
ぬいとり9.1%
ぬひと3.0%
しゅう1.5%
1.5%
ぬひとり1.5%
ぬもの1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
鼈甲べつかふくしかうがいを円光の如くさしないて、地獄絵をうたうちかけもすそを長々とひきはえながら、天女のやうなこびこらして、夢かとばかり眼の前へ現れた。
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その為に敢然正筆を使うと、——彼は横を向くが早いか、真紅に銀糸のぬいをした、美しい袖をひるがえして、見事に床の上へ手洟てばなをかんだ。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
目も醒むるやうな藤納戸色の着物の胸のあたりには、五色の色糸のかすみ模様のぬひが鮮かだつた。そのぼかされた裾には、さくら草が一面に散り乱れてゐた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
しょうの音が起って騒がしかった堂の中が静かになってきた。ぬいとりのある衣服を着てかつぎをした女が侍女に取り巻かれて出てきた。
陳宝祠 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
この客間の西側(玄関寄り)には、更紗さらさ唐紙からかみが二枚あつて、その一枚の上に古色こしよくを帯びた壁懸けが一つ下つてゐる。麻の地に黄色に百合ゆりのやうな花をぬひとつたのは、津田青楓つだせいふう氏か何かの図案らしい。
漱石山房の秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
早く蘭窓に向って碧荷へきかしゅう
連城 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
モールでふちった草色の制服は総督府そうとくふの従兵と一ト目でわかる。施恩が出て用向きを聞いてみると
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さうして、最後に、皺くちやになつた絹の手巾が、しなやかな指の間で、さながら微風にでもふかれてゐるやうに、ぬひとりのあるふちを動かしてゐるのに気がついた。
手巾 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
必ずしも錦、ぬもののごとくならねども、歌は、ただ読みあげもし、詠じもしたるに、何となく艶にも哀れにも聞ゆることのあるなるべし
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)