“ぬい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
刺繍29.1%
27.9%
23.3%
7.0%
2.3%
1.2%
刺縫1.2%
1.2%
剽窃1.2%
尿1.2%
抜刀1.2%
沼藺1.2%
1.2%
縫殿介1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
破談になった数日後にその刺繍ぬいが出来たので、贈らないのも却って変であると考え、井谷を通じて先方へ届けるようにしてもらった。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
家付きのおぬいは、灯のそばに、凍った寒椿かんつばきみたいに、じっと、俯向いていた。彦太は、こんな美しい襟あしを見たことはなかった。
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
しばらく老婦人と話しているうちに岸本はその部屋の長い窓掛まで日本から渡来した古い金糸のぬいのある布で造ってあるのに気がついた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
... 葛入餅くずいりもちと申して葛の粉少々と糯米もちごめと一所に蒸して充分にぬいたのです」客「道理で絹漉餅きぬこしもちともいうべき位です。あんまり美味しいので残らず平らげました」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
の男が亡くなってしまった日にゃア、誠に困る、身ぐるみぬいだって、碌な荷物もえようだから、宿賃の出所でどこがあるめえと思って、誠に心配しんぷえだ、とんだ厄介者に泊られて、死なれちゃア困るなア
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ぬいながむるに是も亦違もなき天下三品さんぴんの短刀なりと拜見しをはりて大膳にもどし成程御證據の二品は慥なれ共天一坊殿に於ては僞物にせものに相違なしといふ此時このとき天忠席を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ぬいて胸先に押當おしあつれどもお梅はをつとの事のみ心にかゝ勿々なか/\おそるゝ容子ようすもなくころさば殺し給へ決して隨ふまじとのゝしゆゑ粂之進は刀をぬきは拔たれどももとより殺す心なければをさかたこまり居るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
薩摩上布さつまじょうふに秋草の刺縫ぬいのある紫紺しこんの帯を町家まちや風にきちんと結んだ、二十二、三の下町の若御寮わかごりょう
歯の根も合わぬほどなるも、風雨の中を縦横奔走して、指揮監督し、る時は自らくわふるい、または自らぬいで人夫に与え、つとめて平気の顔色がんしょくを粧いたりしも、予もひとしく人間なれば
杜康を命じ蘇小をへいしと古い所を剽窃ぬいた覚えはあっても、今となって芸妓げいしゃを呼ぶ手続が分らない、ほかでもないことを友達に聞うにも聞れず、聞たとて差支えるではないが
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
あまっさえわが文殊院の至宝たる仁王像を引きずり下ろして微塵みじんとなし、それに尿ぬいを放って、快を叫ぶなど、沙汰の限りな狼藉の果て、今暁までその場に眠りおったとのこと。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
刹那、匕首どすが閃めいた。綱五郎が抜刀ぬいて飛びかかったのである。再度悲鳴が聞こえた時には、生首を銜えた男の手に、血まみれの匕首が持たれ、その足許に綱五郎が斃れていた。
鸚鵡蔵代首伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
金翠きんすいぬいキラやかな戦袍せんぽうに、武長官の剣帯けんたいをしめた腰細く、さいつの(これを吹いて軍を指揮する)をあわせて飾り、萌黄革もえぎがわの花靴の音かろやかに歩きよって来
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「だいぶ、いらざるおしゃべりをして、おもてなしにあずかった。……縫殿介ぬい、ぼつぼつおいとましようか」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)