“ぬく”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヌク
語句割合
82.7%
12.0%
2.0%
1.3%
0.7%
微温0.7%
抜萃0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「おう、まだぬくみがある。このぶんなら大丈夫。……落ちる途中で気を失ったとみえて、いいあんばいにあまり水も飲んでいない」
顎十郎捕物帳:01 捨公方 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
猟犬どもの暴れもがく声とへやぬくもりとでそそられた或る情慾が、だんだん体内みうちにひろがって来た。で、彼は夫人の肩を軽く押えて
犬舎 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
阿難よ、お前は幼い時出家して今日まで有漏うろのさわりを竹の節をぬくように順々に抜いて来た。そして僅に残って居る一節二節は、骨肉に対するやみ難き愛着の情であった。
阿難と呪術師の娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
われらはまだぬくまらぬ臥床ふしどを降りて、まどのもとなる小机にいむかひ、烟草タバコくゆらすほどに、さきの笛の音、また窓の外におこりて、たちまち断えたちまち続き、ひなうぐいすのこころみに鳴く如し。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
左手ゆんでにて押へ附れば庄兵衞はいきつまりてくるしさに何をするぞといはせもせず右手に懷劍くわいけんぬくもなくつか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ぬくより早くすで自害じがいすべき有樣なるにぞ忠八はあわ押止おしとゞめ御花樣には如何いかなれば御生害ごしやうがいを成れんとは仕給したまふや兄君の御成行なりゆきを御聞成れ御心にても亂れ給ひしかといへばお花は涙をとゞめ是程の大變を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
戸外に出ると、対岸の山頂が微かな光に染み、そこから夏の日特有の微温ぬくもったあけぼのが押し拡がろうとしている。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
如何に彼が豪放であり、如何に彼が派手好きであったか、古書から少しく抜萃ぬくことにしよう。
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)