ぬく)” の例文
あの子供が鼻糞をほじくりながら、何を工夫しているかと思うと、太陽が消えてしまった跡で、世界をぬくめる火を工夫しているというのですね。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
われらはまだぬくまらぬ臥床ふしどを降りて、まどのもとなる小机にいむかひ、烟草タバコくゆらすほどに、さきの笛の音、また窓の外におこりて、たちまち断えたちまち続き、ひなうぐいすのこころみに鳴く如し。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)