“煖炉”のいろいろな読み方と例文
旧字:煖爐
読み方割合
だんろ65.9%
ストーブ11.0%
ペチカ11.0%
ストオブ4.9%
オーフェン1.2%
いろり1.2%
シユミネ1.2%
ファイアプレース1.2%
ファイヤープレース1.2%
ペーチカ1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
巨大な煖炉だんろ、ゆったりした台所、ひろびろした地下の蔵、宴会用の豪華な広間。すべてが過ぎし昔のにぎやかな酒宴を物語っている。
薄暗い食堂の戸を開けると、主婦がたった一人煖炉ストーブの横に茶器をひかえてすわっていた。石炭をもやしてくれたので、幾分か陽気な感じがした。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そこでわしたち子供一同は一塊りに寄りたかつて、老いこんでもう五年の余も煖炉ペチカから下りて来ない祖父ぢぢいの話に聴き入つたものぢや。
かぶつた滿谷は「ゆうべ汲んで置くのを忘れたら、今朝けさ水道が凍つて水が出ない」と云つて水瓶みづがめを手にしたまゝ煖炉ストオブの前に立つて居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
煖炉オーフェンのそばでごろ寝したがるのをお尻をたたいて二階へ追いあげ、二人ずつひとつの寝台へ押し込んで丁寧に毛布でくるんでやった。
チャーミングさんは、すらりとした長身をゆったりと椅子の中にのばし、沈鬱メランコリックな眼ざしで静かに煖炉いろりの火を見つめている。
ぐわつに成つたら一層寒くなるはず巴里パリイが今年はうした調子外れか好い天気が続いて僕の部屋などは煖炉シユミネかなくつてもいい様に成つた。少し街を歩けば外套が脱ぎたくなる程の温かさだ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
信徳は他の者を見廻しながらさつさと立つて、大きい備付の煖炉ファイアプレースのある客間に入つて行つた。
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
黒大理石で張った大きい煖炉ファイヤープレースには、夕刻まで続いた会議の名残なごりと見えて、焼余もえさしの石炭が、少しばかりの焔を吐いて居るのも物々しい情景です。
女記者の役割 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
警戒所でとった煖炉ペーチカの温度は、ドアから出て二分間も歩かないうちに、黒龍江の下流から吹き上げて来る嵐に奪われてしまった。防寒靴は雪の中へずりこみ、歩くたびにふごのようにがく/\動いた。
氷河 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)