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煖炉
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ストーブ
ふりがな文庫
“
煖炉
(
ストーブ
)” の例文
旧字:
煖爐
薄暗い食堂の戸を開けると、主婦がたった一人
煖炉
(
ストーブ
)
の横に茶器を
控
(
ひか
)
えて
坐
(
すわ
)
っていた。石炭を
燃
(
もや
)
してくれたので、幾分か陽気な感じがした。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
右手が
勘定台
(
カウンター
)
で、その上の格子から女中の髪に揷した白い花の簪が見える。客が非常に少かった。私は室の奥に据えられた
煖炉
(
ストーブ
)
に火が焚かれたのを見たことがない。
蠱惑
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「どうぞ
此方
(
こちら
)
へ」と案内した、導かれて二階へ上ると、
煖炉
(
ストーブ
)
を
熾
(
さかん
)
に
燃
(
た
)
いていたので、ムッとする程
温
(
あった
)
かい。
煖炉
(
ストーブ
)
の前には三人、他の三人は少し離れて椅子に寄っている。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
広漠とした
広間
(
ホール
)
の中で、私はひとり
麦酒
(
ビール
)
を飲んでた。だれも外に客がなく、物の動く影さへもない。
煖炉
(
ストーブ
)
は明るく燃え、
扉
(
ドア
)
の厚い
硝子
(
ガラス
)
を通して、晩秋の光が
侘
(
わび
)
しく
射
(
さ
)
してた。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
こちらの東側の半分を埋めていた図書文献の類を全部、今までの教授室に移して、その跡を御覧の通り、御自分の居間に改造してあのような美事な
煖炉
(
ストーブ
)
まで取付けられたものです。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
つまり、水を洗手台から導いて、階段を落下させたという目的は、きわめて推察に容易ではあるが、次の
煖炉
(
ストーブ
)
の点火という点になると、その意図には皆目見当がつかないのだった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
これからはかうして部屋に籠つて
煖炉
(
ストーブ
)
のそばにゐるのが一等好いわね、あなたは幸福だわ。あたしもこれからはチヨイチヨイ来て——あなたお書きなさいな、あたしこゝで静かにあたつてゐるわ。
夢:(これは、叙景・叙述のない一挿話である)
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
煖炉
(
ストーブ
)
の前で、ラヴィニアがまだしゃべっている所へ、戸が開いて、セエラがロッティと一緒に入って来ました。ロッティはまるで小犬のように、セエラの行く所へはどこにでもついて行くのでした。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
自分は暖かい
煖炉
(
ストーブ
)
と、
海老茶
(
えびちゃ
)
の
繻子
(
しゅす
)
の
刺繍
(
ぬいとり
)
と、安楽椅子と、快活なK君の旅行談を予想して、勇んで、門を入って、階段を
駆
(
か
)
け
上
(
あが
)
るように
敲子
(
ノッカー
)
をとんとんと打った。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「愉快々々、談
愈々
(
いよいよ
)
佳境に
入
(
い
)
って来たぞ、それからッ?」と若い松木は椅子を
煖炉
(
ストーブ
)
の方へ引寄た。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
しかし、その時熊城が、扉の側にある点滅器を
捻
(
ひね
)
り、またその下の電気
煖炉
(
ストーブ
)
に眼を止めて、
差込み
(
プラグ
)
を引き抜いたので、やがて濛気と高温が退散するにつれ、室の全貌がようやく明らかになった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
何より
嬉
(
うれ
)
しいのは断えず
煖炉
(
ストーブ
)
に火を
焚
(
た
)
いて、
惜気
(
おしげ
)
もなく光った石炭を
崩
(
くず
)
している事である。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だから馬鈴薯には
懲々
(
こりごり
)
しましたというんです。何でも今は実際主義で、金が取れて
美味
(
うま
)
いものが喰えて、こうやって諸君と
煖炉
(
ストーブ
)
にあたって酒を飲んで、勝手な熱を吹き合う、腹が
減
(
すい
)
たら牛肉を
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
とそれから
煖炉
(
ストーブ
)
の前で、法水は紅い
煨
(
おき
)
に手をかざしながら続けた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
しばらく
煖炉
(
ストーブ
)
の
傍
(
はた
)
で
煙草
(
たばこ
)
を吹かして待っている間に、宗助は自分と関係のない大きな世間の活動に否応なしに
捲
(
ま
)
き込まれて、やむを得ず年を越さなければならない人のごとくに感じた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“煖炉(
暖炉
)”の解説
暖炉(だんろ、煖炉とも、Fireplace)とは、室内に作りつけられた暖房装置の一種である。暖房としての役割は副次的または無く、主に部屋の装飾として設置される場合もある。
(出典:Wikipedia)
煖
漢検1級
部首:⽕
13画
炉
常用漢字
中学
部首:⽕
8画
“煖炉”で始まる語句
煖炉棚
煖炉前飾
煖炉敷