“刺繍”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ししゅう49.5%
ぬいとり17.2%
ぬい13.0%
ぬひ6.3%
ぬひとり5.2%
ししう3.1%
ぬいと1.6%
ししゆう1.0%
ほりもの1.0%
0.5%
ぬいとっ0.5%
ぬひと0.5%
ろざ0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
胸のところに、小さい白い薔薇の花を刺繍して置いた。上衣を着ちゃうと、この刺繍見えなくなる。誰にもわからない。得意である。
女生徒 (新字新仮名) / 太宰治(著)
生際曇る、柳の葉越、色は抜けるほど白いのが、浅黄に銀の刺繍で、これが伊達の、渦巻と見せた白い蛇の半襟で、に宿す影がい。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
高島田に奴元結い掛けて、脂粉こまやかに桃花のびをい、朱鷺縮緬単衣に、銀糸の刺繍ある水色𧘕𧘔を着けたり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
琥珀刺繍をした白い蝙蝠傘を、パツとの花を開くやうにして、もすればれやうとする足をお光はせか/\と内輪に引きつて行つた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
金糸銀糸の刺繍をほどこした裲襠、天地紅の玉章を、サツと流して、象の背に横樣に乘つた立兵庫、お妙の美しさは、人間離れのしたものでした。
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
事の起りは、エルアフイ夫人がアムステルダムの良人から託送して来たオランダ土産刺繍のある布地をジッド夫人に届けた事からである。
亜剌比亜人エルアフイ (新字旧仮名) / 犬養健(著)
時鳥啼くや五尺の菖蒲草を一杯に刺繍った振り袖に夜目にもき錦の帯をふっくりと結んだその姿は、気高く美しくたけて見える。
紅白縮緬組 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
併し、彼の妻は、暑さをさほどには感じなかつた。併し、彼の妻から暑さを防いだものは、その頭の上の紫陽花色に紫陽花の刺繍のあるパラソル——貧しいの天蓋——ではなかつた。
天地啊呍手拭つかひに突張つて、背中つてたのは、刺繍のしなびた四十五六の職人であつた。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それは殆んど折ることの出来ない程ごわごわした、金や宝石で重い様な着物で、その上には羽の生えた獅子や蛇などが紫水晶で刺繍ってあった。……皇帝は大理石の廊下伝いに広間へ趣いた。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
紅玉石か真珠でも一杯に刺繍てあるらしく、それが今めいて煙々と瓔珞の虹を放っている光耀さ!
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
かう語りながら、カテリーナは手巾を取り出して、自分の腕に眠つてゐる我が子の顔を拭つた。その手巾には彼女の手づから紅い絹絲で木の葉と木実刺繍つてあつた。
緋縮緬の、茶のデシンに黄色い花を刺繍しの、タフタの朱子の、色もかたちもさまざまである。花がいったことは嘘ではない。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)