“摺”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
62.8%
29.0%
ずり2.8%
すり1.9%
こす0.7%
たた0.6%
すれ0.4%
さす0.2%
すっ0.2%
すら0.2%
する0.2%
ずら0.2%
ずれ0.2%
たゝ0.2%
なす0.2%
コス0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
御墨付と見せたのは、どこにでもある小菊二三枚、短刀は、脇差をり上げて禿はげちょろざやに納めた、似も付かぬ偽物だったのでした。
それは、かれているというより、られている形だった。青は、二歩歩いては立ちまり、三歩歩いては立ち停まるのだった。
狂馬 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
ここで夫婦は戸外へ出て一夜を明かしたところで、際物師の書肆が来て、地震の趣向で何か一枚ずりをこしらえてくれと言った。
死体の匂い (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
白い往来には、大師詣りの人達の姿が、ちらほら見えて、或雑木林の片陰などには、汚い天刑病てんけいびょう者が、そこにも此処にも頭を土にすりつけていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
停車場ステエションかたを見ながら言つた、媼がしよぼ/\した目は、うやつて遠方のものにこすりつけるまでにしなければ、見えぬのであらう。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その紐にはたたんである襤褸の小片が結びつけてあった。彼はそれを膝の上で気をつけてけた。中にはほんの少しの髪の毛が入っていた。
此さゝら内へすれ凶作きようさくなりとてそとへ/\とすりならす。又志願しぐわんの者かね普光寺ふくわうじへ達しおきて、小桶に神酒みきを入れさかづきそへけんず。山男挑燈てうちんをもたせ人をおしわくる者廿人ばかりさきにすゝみて堂に入る。
貴女あんたな、ようこそ、芝居の裏で、おじいはんの肩さすって上げなはった。多一さんも人目忍んで、貴女の孝行手伝わはった。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いて身を取て俎板まないたで叩いて擂鉢すりばちでよくすっ玉葱たまねぎ山葵卸わさびおろしで摺込んで塩と味淋で味を付けてまたよく摺って煮汁だしを加えてドロドロにして
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
また略解は「菫つむは衣すらむ料なるべし」とあるが、これも主要な目的ではないであろう。本来菫を摘むというのは、可憐な花を愛するためでなく、その他の若草と共に食用として摘んだものである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
尼寺にみそする音やほとゝぎす 除風
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
散らかっておりまして、と床の間の新聞をほうり出すやら。火鉢を押出して突附けるかとすれば、何だ、熱いのに、と急いでまたずらすやら。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その職員室真中まんなか大卓子おおテエブル、向側の椅子いすかかった先生は、しま布子ぬのこ小倉こくらはかま、羽織はそでに白墨ずれのあるのを背後うしろの壁に遣放やりぱなしに更紗さらさの裏をよじってぶらり。
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
中單チヨキの代にその頃着る習なりし絹の胸當をば、針にて上衣の下に縫ひ留めき。領巾えりぎぬをば幅廣きひだたゝみたり。頭には縫とりしたる帽を戴きつ。我姿はいとやさしかりき。
犬は主人の同類がやって来たのを見ると、嬉しがって、少し元気よく吠えて鼻頭はなさきなすりつけるようにした。
幻想 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
或る古書は伝へて「其長ソノタケ九尺余、胴ヨリ頭小サク、オモテ赤ク眼丸クシテ鼻高ク、傍ヲ見ル時ハ肩ヲコスリ、口広クシテ耳ニ及ビ、歯ハ馬ノ歯ノゴトク雪ヨリモ白シ、ツメハ熊ノ手足ニ似タリ、髪ハネズミ色ニシテ……」云々うんぬんと記してゐる。
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
り染めや、ち染めの技術も、女たちの間には、目立たぬ進歩が年々にあつたが、で染めの為の染料が、カラ技工人テビトの影響から、途方もなく変化した。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)