たた)” の例文
その紐にはたたんである襤褸の小片が結びつけてあった。彼はそれを膝の上で気をつけてけた。中にはほんの少しの髪の毛が入っていた。
したがひし式の女官は奥の入口のしきいの上まで出で、右手めてたたみたるおうぎを持ちたるままに直立したる、その姿いといと気高く、鴨居かもい柱をわくにしたる一面の画図に似たりけり。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あをくたたまれた海の夢が、とほい惝怳あくがれを乗せて万里の潮を、しろくあげてゐる。
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
その乗手は身を屈め、それから、車掌をちらりと仰ぎ見ながら、一枚の小さく折りたたんだ紙片を旅客に手渡しした。
老事務員が手紙を丁寧にたたんで表書をした時に、クランチャー君は、その行員が吸取紙を使う段になるまで彼を無言のまま眺めていた後に、こう言った。——