“兼”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かね53.4%
34.3%
けん9.7%
0.8%
およ0.4%
かねし0.4%
がね0.4%
カネ0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
金眸は朝よりほらこもりて、ひとうずくまりゐる処へ、かねてより称心きにいりの、聴水ちょうすいといふ古狐ふるぎつねそば伝ひに雪踏みわげて、ようやく洞の入口まで来たり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
治良右衛門の命令に、ねて手筈が極めてあったのか、鮎子の手に白刄はくじんがひらめいて、空中梯子の二本の繩が、プッツリ切断された。
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
A院長エーいんちょうは、居間いまで、これから一ぱいやろうとおもっていたのです。そこへはばかるようなちいさい跫音あしおとがして、ぎの女中じょちゅうけん看護婦かんごふはいってきて
三月の空の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ついてはね御約束の通り、今日は一つ私にも、不老不死ふろうふしになる仙人の術を教えて貰いたいと思いますが。」
仙人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「満野繁霜禾既収。今朝解任意悠悠。帯皇威去了其事。無一殛刑兼瘠溝。」〔満野繁霜禾既ニ収メ/今朝任ヲ解カレ意悠悠タリ/皇威ヲ帯ビテキ其ノ事ヲヘリ/一ノ殛刑およビ瘠溝無シ〕
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
石本君、生別又かねし死別時、僕は慇懃いんぎんに袖を引いて再逢のを問ひはせん。君も敢てまたその事を云ひ給ふな。たゞ別れるのだ。別れて君は郷国くにへ帰り、僕は遠い処へ行くまでだ。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
らされた小者は、他への気がねや、きまりのわるさなど、忘れてしまっているほど、おおかめさんが怖いのだ。
カネる」と言つた芸風の人ではあつたが、芸の素質はさして広い人とは言へなかつた。「立役」はしても「実悪ジツアク」を兼ることは絶対になかつた。
芝居の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)