“蹲”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うずくま36.4%
しゃが21.0%
うずく11.1%
うづくま9.9%
しやが6.3%
かが4.1%
つくば3.6%
うづく3.4%
うず0.5%
こご0.5%
しや0.5%
つく0.5%
つくな0.5%
つくも0.2%
うづ0.2%
かがま0.2%
かゞ0.2%
しゃ0.2%
つまづ0.2%
ひざまず0.2%
ウヅクマ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
人目を避けて、うずくまって、しらみひねるか、かさくか、弁当を使うとも、掃溜はきだめを探した干魚ほしうおの骨をしゃぶるに過ぎまい。乞食のように薄汚い。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
興哥はそこへ歩いて往った。黄金のかんざしが落ちていた。しゃがんで拾って空の明るみに透して見ると、鳳凰の形にこしらえた物であった。
金鳳釵記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
金眸は朝よりほらこもりて、ひとうずくまりゐる処へ、かねてより称心きにいりの、聴水ちょうすいといふ古狐ふるぎつねそば伝ひに雪踏みわげて、ようやく洞の入口まで来たり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
今まで下にうづくまつてゐたのが、急に飛び立つたと思ひますと、兩手を前へ伸した儘、車の方へ思はず知らず走りかゝらうと致しました。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
軍治は路傍にしやがみこんで、歩いて来た道、眼の届かぬ行手に頭を廻し、母よ、母よ、と意味もなく、声もない呼声に胸をかきむしられた。
鳥羽家の子供 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
それでまた屁ッぴり腰をして樽の上にかがみ、そして車からふりおとされないために顔を真赤にして一生懸命荷物台に獅噛しがみついた。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
兄も暇の時には、引入れた臥牛ねうしのような石に腰を掛けたり、位置を考えて据えつけたつくばいの水をかえたりなどなさるのでした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
おつぎは晝餐ひる支度したくちやわかした。三にん食事しよくじあとくちらしながら戸口とぐちてそれからくりかげしばらうづくまつたまゝいこうてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
白くしょんぼりうずくまって、かなり遠くから見たのでございますから、ふいるむのように小さく、けれども確かに、確かに
(新字新仮名) / 太宰治(著)
長尾鳥飛びて叫ぶに、行きなづみこごみてれば、あな寒むや渓裾紅葉、鉾杉の暗みを出でてひとあかあかく燃えたり、その紅葉淵に映れり。人知らぬ寂びと静けさ。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
釣道具を日本から携へて来られた佐藤さんは、その夕明りの下で草の上にしやがみながら鮒を釣られた。良人の此処で詠んだ歌の中に
まるで旦那は口い利かれない、只今上げます/\命はお助け、命だけは堪忍して呉れと云うと、命までは取らぬ、金さえ出せば帰るから金え出せと云うので、其処そけつくなんでしまっただ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
幾ら泣いても生返いきけえる訳でなえというけれども、只彼処あすこつくなんで線香を上げ、水を上げちゃア泣いてるだ、誠にハア困ります
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
チベットでは立ってお便ちょうずをすることは在家ざいけの男でなくてはほとんどやらないです。僧侶及び婦人、在家の男子でも少し心掛けのある者はみなつくもって小便をする。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
くわいのボロくづのやうに欄干にうづくまつて、最早息があらうとも覺えず、生命の最後の痙攣けいれんが、僅かにその四に殘るだけです。
岬の鼻は幾十丈もある巨きな岩が、蛙のかがまつて口を開いて居るやうに、太平洋の波浪に向つて、いくらでも波の寄せて来るのを引き受けるとやうに巌として構へてゐる。
伊良湖の旅 (新字旧仮名) / 吉江喬松(著)
(何故なら、その一週間前、施療部の一肺患者が寝台の鉄柵へ帯を懸けて、首を縊った。非常な努力を以てでなくては出来ぬ、かゞんだ儘の縊死を、この機会に私は初めて実見したのであった。)
ラ氏の笛 (新字新仮名) / 松永延造(著)
博士はしゃがんだ。「まだいくらか温味ぬくみがあります、しかし息はもう絶えているようです。持上げますからちょっと手伝って下さいませんか」
駿河臺で摺れ違ひ樣ピカリと來たとき、捨石につまづいて轉んだのが命拾ひでした。轉がりついでに石垣の下まで落ちて、死に物狂ひで逃げたが、あとで考へると口惜しくてたまりません。
銭形平次捕物控:126 辻斬 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
青眼爺様じいさんは白髪小僧の藍丸王が飲み干した盃を受け取って、傍の小供に渡すと直ぐに又眼くばせをして、六人の小供を皆遠くの廊下へ退しりぞけて、ただひとり王の前にひざまずいて恐る恐る口を開いた——
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
何処ドコからか吹きこんだ朝山オロシに、御灯ミアカシが消えたのである。当麻語部タギマカタリの姥も、薄闇にウヅクマつて居るのであらう。姫はフタタビ、この老女の事を忘れてゐた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)