うづく)” の例文
おつぎは晝餐ひる支度したくちやわかした。三にん食事しよくじあとくちらしながら戸口とぐちてそれからくりかげしばらうづくまつたまゝいこうてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
私はその下にうづくまつた。私の周圍には高い草原が土手どてをなしてゐた。岩は頭の上に蔽ひかぶさつてゐた。その上に蒼空があつた。
彼はうづくまつて、小さい隊商を凝視した。さうして暫くの間、彼は彼等から子供らしいたのしみを得させられた。
げたこしちあへず、いしうづくまつた。くされ、れて、樹蔭こかげつき斷々きれ/″\に、ほねくだいてらしたれば、片輪車かたわぐるまかげたふして、輪𢌞りんねすごゑがけるさま
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それも藤岡の祖父にあたる人は川ばたにうづくまれる乞食こじきを見、さぞ寒からうと思ひし余り、自分も襦袢じゆばん一枚になりて厳冬の縁側に坐り込みし為、とうとう風を引いて死にたりと言へば
学校友だち (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それを聞いて一番驚いたのは、隅の方にうづくまつて居た、繩付の新吉でした。
又一人の我臥床ふしどの下にうづくまりて、もろ手もて顏を掩へるあり。ロオザの我に一匙の藥水をすゝめつゝ熱は去れりと云ふ時、蹲れる人はしづかに起ちて室を出でんとす。われ。ララよ、暫し待ち給へ。
覇王樹サボテンの蔭にうづくみて日向ぼこせる洋館の病児の如く泣くもあり。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
うづくまる。食器戸棚はあくどい慾に
私は言葉もなくそこにうづくまつた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
腰繩こしなはにて引連ひきつれられ即日そくじつの吟味となり願人淺草田原町小間物商賣花房屋彌吉同人妻粂并に淺草諏訪町家主組合長屋の者殘らず召出され一同白洲へ呼込よびごみになりしかば一番にお菊は腰繩にて引出され砂利じやりうづくまる時越前守殿出座しゆつざあつて願人花房屋彌吉同人妻粂と呼れ其方共願ひ出たる通り菊事姑女しうとめ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
非常に疲れて、ひどく空腹に苦しみながら、私は脇道わきみちに外れて小徑に入り、まがきの根元にうづくまつて了つた。が、暫くも經たぬ内にまた歩き出した。
ヅイと出た平次、縁側の下にうづくまる黒助を見下ろして斯う言ふのでした。
法師は石畳みにうづくまつた儘、たつた一言返事をした。
六の宮の姫君 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
にほふともなくるとなく、うづくみ居れば。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
教室の煖爐は、どれも、素早く、大きな少女たちが二列に取り卷き、そして、その背後うしろには、小さい子供たちが、痩せた兩手を前掛にくるんで、かたまつてうづくまつてゐた。
棕櫚しゆろの根にうづくおばよ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)