“漸”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ようや58.2%
やうや19.7%
やっ5.3%
4.6%
やつ4.3%
ようよ2.6%
よう1.4%
やうやく0.9%
ぜん0.7%
やっと0.4%
(他:16)1.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“漸”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸67.7%
文学 > 日本文学 > 小説 物語17.6%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行6.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
この時は午前の四時少し過ぎ、東の空はようやく白んで来たようだが、濃霧は四方を立てめて、どこの山の姿も分らない。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
父好次の下に帰ったのが寛永十四年、年ようやく十六であったが、英敏の資に加うるに容資典雅にして挙動処女の如くであった。
島原の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
やうやまちをはづれると、九頭龍川くづりうがは川面かはづらに、夕暮ゆふぐれいろめて
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
やうや鐵條網てつでうもうそとからお賽錢さいせんげたのを、へん男子をとこがノコ/\
だから急いで顔をそむけて、足早に通り抜け、やっと小間物屋の開店だけは免れたが、このくらいにも神経的になっていた。
予が半生の懺悔 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
山三郎ははて船が流れ着いたなと、やっと起上ってよく/\見ますと、松の根方の草のはえて居る砂原へ船は打上げられました。
うくもちはさんで塵紙ちりがみうへせてせがれ幸之助かうのすけへ渡して自分も一つ取つて
っと十一時近くにそれを読み了えて、手水ちょうずをしに下りて往くと、丁度例の娘達が外から帰って来たところだった。
晩夏 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
そして物の十五分も黙りこくつてあちこちを繰つてゐたが、やつと何か見つかつたらしく、上品な声で「はは……」と笑つた。
「三十年もかゝつてやつと溜めたんですもの、私には子供のやうにしか思へません。せめて一本でも残して置きたいもんですね。」
ようよう妹をすかして、鉛筆と半紙を借り受け急ぎ消息はなしけるも、くわしき有様を書きしるすべきひまもなかりき。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
ようよう日のかげりかけた境内の薄闇には、白い人の姿が、ベンチやさくのほとりに多く集っていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
と怖々出て往ったが慌てゝおりますから、火打を出してカチ/\うちつけようやく灯火を点けてまいり、座敷の燭台へ移しました。
「やあ、桜がある。今ようやく咲き掛けた所だね。余程気候が違う」と云った。話の具合が何だかもとの様にしんみりしない。代助も少し気の抜けた風に、
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれど吾等われら勞力らうりよくつひ無益むえきとならで、やうやくことしまいたのは
とらやうやくこと捕押とりおさへたが其爲そのため怪我人けがにんが七八にん出來できた。
これあに文学の一大進歩ならずや、おもうに一事一運のまさに開かんとするや、進むに必ずぜんをもってす。
慶応義塾の記 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
現在の系統は一朝一夕に発達したものではなく、ガリレー以来ぜんを追うて発達して来たもので、種々な観念もだんだんに変遷し拡張されて来たものである。
物質とエネルギー (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
剣のように北側の軒から垂下る長い光った氷柱つららを眺めて、やっとの思で夫婦は復た年を越した。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
これは中々点かねえもんだね、いしが丸くなってしまって、それに火絮が湿ってるだから……やっとの事で点いただ、これでこの紙の附木に付けるだ、それ能く点くべい、えら硫黄臭いが、硫黄でこしれえた紙だと見える、南風でも北風でも消えねえって自慢して売るだ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
丁度通りかかる音作を呼留めて、一緒に助け起して、やつとのことで家まで連帰つて見ると、今すこし遅からうものなら既に生命をられるところ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
斯の骨の折れる山道を越して、やつとのことで峠の下まで歩いて行きますと、澤深い温泉宿のやうな家々の灯が私の眼に嬉しく映りました。そこが中仙道の沓掛くつかけであつたかと覺えて居ます。
が、そんなことをしてうやっと歩いている僕たちは、泥濘のなかをも平気で歩いてゆくその牝山羊をつれた女にもずんずん引き離されてしまった。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
何がさて空想でくらんでいた此方このほうの眼にそのなみだ這入はいるものか、おれの心一ツで親女房に憂目うきめを見するという事に其時はツイ気が付かなんだが、今となってう漸う眼が覚めた。
まだようやくく二十四五にしかえず、いずれかといえば妖艶ようえんなかたちの、情熱じょうねつえたえて
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
明智は平気で答えた。田村氏の顔色はようやくく真剣味を帯びて来た。刑事部長も一膝前にのり出した。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
くりかへして言つて居ました、私はやうやく一銭銅貨のつかひところを見つけて、まづよかつたと安心した。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
くの如きは、吾人が一歳有半の間、上下一致、民族的和協の実をあげて遂行したる猛烈の健闘によりて、やうやく贏得えいとくするに至れる帝国現下の状勢也。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ややして帰りしをあやしとてこの漆師ぬしおじが申されし
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
群ぬちややにさはがし。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
それから私の兄が久松家の用人をやめて自分の家に戻って後、そこには藤野古白こはくの老父君であった藤野すすむ翁が久松家の用人として住まっていた。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
源平盛衰記げんぺいせいすゐき文覚発心もんがくほつしんくだりに、「はやきたつて女と共にし居たり、狭夜さよやうやう更け行きて云云うんぬん」と、ちやんと書いてある事である。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
理窟はさて置いて、この面舐かおなめの一儀が済むと、ポチもやッと是で気が済んだという形で、また庭先をうろうろし出して、椽の下なぞを覗いて見る。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)