“やつと”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
50.0%
辛而50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
丁度通りかかる音作を呼留めて、一緒に助け起して、やつとのことで家まで連帰つて見ると、今すこし遅からうものなら既に生命をられるところ。それぎり敬之進は床の上に横に成つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其時、私は先住の匹偶つれあひにも心配させないやうに、檀家だんかの人達の耳へも入れないやうにツて、奈何どんなに独りで気をみましたか知れません。やつとのこと、お金を遣つて、女の方の手を切らせました。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ビフテキが燒いてある?………ほ、それは結構けつこうだね。お前はも強壯な筈だから、ウンと堪能たんのうするさ。俺は殘念ながら、知ツての通り、半熟はんじゆくの卵と牛乳で辛而やつと露命ろめいつないでゐる弱虫だ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
車も歳月の力と人の力とにらされて、繩が辛而やつとはまツてゐる位だ。井戸の傍に大株おほかぶ無花果いちゞくがコンモリとしてゐる。馬鹿に好く葉がしげツてゐるので、其の鮮麗せんれい緑色みどりいろが、むし暗然あんぜんとして毒々どく/\しい。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)