“漸(よ)” の例文
が、そんなことをして漸(よ)うやっと歩いている僕たちは、泥濘のなかをも平気で歩いてゆくその牝山羊をつれた女にもずんずん引き離されてしまった。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
投げ植えるようにしてあるのが、今時分になって、漸(よ)う/\数えるほどの花が白く開いている。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
何がさて空想で眩(くら)んでいた此方(このほう)の眼にその泪(なみだ)が這入(はい)るものか、おれの心一ツで親女房に憂目(うきめ)を見するという事に其時はツイ気が付かなんだが、今となって漸(よ)う漸う眼が覚めた。