やう)” の例文
ながめやればはるか向ふに燈火ともしびの光のちら/\と見えしに吉兵衞やうやくいきたる心地こゝちし是ぞまがひなき人家ならんと又も彼火かのひひかり目當めあてゆき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
覺えて鹽尻峠しほじりたふげも馬に遊ばんと頼み置きて寐に就く温泉にてつかれを忘れ心よくねぶりたれば夜の明けたるも知らず宿の者に催されてやうやくに眼を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
はるやうやく一段落いちだんらくいた」とかたつてゐた。そこへきよ坂井さかゐからの口上こうじやういだので、御米およねをつとかほ微笑びせうした。宗助そうすけ茶碗ちやわんいて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
くの如きは、吾人が一歳有半の間、上下一致、民族的和協の実をあげて遂行したる猛烈の健闘によりて、やうやく贏得えいとくするに至れる帝国現下の状勢也。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
くりかへして言つて居ました、私はやうやく一銭銅貨のつかひところを見つけて、まづよかつたと安心した。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
うばひ酒色にふけいそがぬ道も日數ひかずやうやく江戸へ近づき神奈川宿の龜屋徳右衞門かめやとくゑもんといふ旅籠屋はたごやへ泊りとなり座敷を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)