“紛”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
まぎ73.5%
まが8.2%
まご5.9%
まぎら3.0%
ぷん1.6%
まぐ1.3%
はぐ1.1%
もつ1.1%
まぎれ1.0%
ふん0.6%
0.5%
ごま0.3%
0.3%
まぎらわ0.3%
こな0.2%
はふ0.2%
まがい0.2%
まがひ0.2%
まぎらは0.2%
まぐれ0.2%
みだ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
自分が悪口を云われる口惜くやまぎれに他人の悪口を云うように取られては、悪口の功力くりきがないと心得て今日まで謹慎の意を表していた。
田山花袋君に答う (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
取上見るに女の生首なまくびなりよつ月影つきかげすかして猶熟々つく/″\改し處まがふ方なき妻白妙が首に候間何者の所業なるやと一時はむねも一ぱいに相成我を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そして、いわゆる鎌倉山の星月夜にもまごうといわれる群臣の綺羅きらや女房桟敷のあいだを縫って、やっと、高時の御座所まで近づいた。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで気をまぎらせたい一心から、今まで下駄の爪先ばかりへやっていた眼を、隣近所へ挙げて見ると、この電車にもまた不思議があった。
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
大なすきを打込んで、身を横にしてたおれるばかりに土の塊を鋤起す。気の遠くなるような黒土の臭気においぷんとして、鼻を衝くのでした。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「さやうで御座います。来月あたりに成りませんと、余り咲きませんので、これがたつた一つ有りましたんで、まぐざきなので御座いますね」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
○「どうしてこう心配事が出来ない性分しょうぶんだろう。もっとも心配事があるとぐレコードをかけて直ぐはぐらかしちまうくせがあるんだけれど。」
現代若き女性気質集 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
色々な考えにちいさな心を今さらあらたもつれさせながら、眼ばかりは見るもののあても無いそらをじっと見ていた源三は、ふっとなんとりだか分らない禽の
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
老人越遊ゑついうすゝめしこと年々なり。もとより山水にふけるへきあり、ゆゑに遊心いうしんぼつ々たれども事にまぎれはたさず。丁酉の晩夏ばんかつひ豚児せがれ京水をしたがへ啓行けいかうす。
ふんぷんたる雪片を空中に巻き上げたが、その一部は落ちて来て、また再び風に乗って、海の方へすみやかに飛んで行ってしまった。
すると、せっかく骨を折って拾った銭がくなっていた者だの、こうがいを抜かれている女だの、たもとを刃物で切られている者だのが数名あって
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
などと吃音でごまかした。あまり村井の様子が生真面目なので、滝本も却つててれ臭くなつてしまつて
南風譜 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
おもへば明日あすよりの閑居かんきよいかならん、甚樣じんさまはしばしこそれをしたひてきもしたまはめ、ほどへなばおのづとわすれて、姉樣ねえさまたちにたまはんは必定ひつぢやうれはぎるヽことこひしさ日毎ひごとさりて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼は町の方へ家を移そうと考えた。そのゴチャゴチャした響の中で、心をまぎらわしたり、新規な仕事の準備したくに取掛ったりしようと考えた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
なやましきの色に、髪際かうぎはこなおしろひに
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
貫一は唯胸も張裂けぬ可く覚えて、ことばでず、いだめたる宮が顔をばはふり下つる熱湯の涙に浸して、その冷たきくちびるむさぼひぬ。宮は男のつばき口移くちうつしからくものどうるほして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何気なく取上げて、日にさらされた表紙の塵埃ほこりを払って見る。まがいも無い彼自身の著書だ。何年か前に出版したもので、今は版元でも品切に成っている。貸失かしなくして彼の手許てもとにも残っていない。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
持出し伊賀亮どの貴殿きでん只今の失言しつげん聞惡きゝにくし則ち御落胤らくいん相違さうゐなき證據は是にありとく拜見はいけんあるべしと出し示せば伊賀亮苦笑にがわらひしながらさらば拜見せんと手に取上これはまがひなきたう將軍家の御直筆ごぢきひつなり又御短刀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と丑松は笑ひまぎらはして了つた。銀之助も一緒になつて笑つた。奥様とお志保は二人の顔を見比べて、熱心に聞き惚れて居たのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
独逸の駆逐艦が着いたということは、僥倖も僥倖……ほとんど僥倖という言葉でも言い表せないくらいの僥倖……言わば万に一つ億に一つの、まぐれ当りというべきです。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
堅緻けんちなる火山岩は統ぶるものなくうちみだれたり、これとかれと互に合はむとして曾て合はず、満ちし潮のいつしかその罅隙ひまに溢れたるが、はげしき夏の日にあたためられ、ここに適度の温浴を供す。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)