“罅隙”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かげき29.4%
すきま23.5%
こげき17.6%
われめ11.8%
すき5.9%
ひま5.9%
ギヤツプ5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ひる近く、船は珊瑚礁さんごしょう罅隙かげきの水道を通って湾に入った。S島だ。黒き小ナポレオンのいるというエルバ島である。
削立つた岩は罅隙すきまのない壁の様で、しかもその上から瀑布たきが泡を飛ばして墜ちて来て、直ぐ下にある、周囲まはりの森の影に裹まれて、真黒な淵にはいります。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
更に進んで他の心理の罅隙こげきに三角形のくさびを持ち込んで行く心持や、さういふものが沢山に出て来た。
現代と旋廻軸 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
すると、不意に彼のひづめの前に野のやみの中に神話の国の罅隙われめが見えた、ズレタズラの市がその罅隙われめの中に隠れて夕ぐれの中にひなたぼっこしていた。
人馬のにひ妻 (新字新仮名) / ロード・ダンセイニ(著)
南京蟲は物の罅隙すきに其の生を保つ。疾病が個人と社會とのピツタリと相合して居らぬ罅隙に於て、其の生存と繁殖との地を占めて居ることは、蔽ふ可からざることである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
堅緻けんちなる火山岩は統ぶるものなくうちみだれたり、これとかれと互に合はむとして曾て合はず、満ちし潮のいつしかその罅隙ひまに溢れたるが、はげしき夏の日にあたためられ、ここに適度の温浴を供す。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
猶人と人との間にはこれほどの罅隙ギヤツプがあるかと思へば、今更ながら新なる寂しさを感ぜずにはゐられないのである。
三太郎の日記 第二 (旧字旧仮名) / 阿部次郎(著)