“すき”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:スキ
語句割合
53.0%
13.0%
10.4%
数寄6.0%
2.4%
数奇2.1%
1.4%
1.1%
間隙1.1%
1.1%
數寄1.0%
所好0.9%
0.9%
空隙0.5%
好色0.4%
0.3%
0.3%
隙間0.3%
0.2%
嗜好0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
主基0.1%
周吉0.1%
好物0.1%
數奇0.1%
0.1%
機会0.1%
機會0.1%
淫乱0.1%
0.1%
空席0.1%
空所0.1%
0.1%
罅隙0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
間際0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あの狡猾こうかつな土蜘蛛は、いつどうしたのか、大きな岩で、一分のすきもないように、外から洞穴の入口をぴったりふさいでしまいました。
犬と笛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
雪をはじめにかきこむすきは、ものすごく大きくて、前へひさしのように出ていた。一郎は、時間のたつのも忘れて、じっと見つめていた。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
月々丑松から送る金の中からすきな地酒を買ふといふことが、何よりのこの牧夫のたのしみ。労苦も寂寥さびしさも其の為に忘れると言つて居た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そもそも私の酒癖しゅへきは、年齢の次第に成長するにしたがっのみ覚え、飲慣れたとうでなくして、うまれたまゝ物心ものごころの出来た時から自然に数寄すきでした。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
すき御門から御深井丸へ出、御旅蔵の東を抜け、不明門から本丸へ這入った。矢来門から玄関へかかり、中玄関から長廊下、行詰まった所が御殿である。
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もっともこの界隈かいわいにはこう云う家も珍しくはなかった。が、「玄鶴山房げんかくさんぼう」の額や塀越しに見える庭木などはどの家よりも数奇すきを凝らしていた。
玄鶴山房 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この仕事が早いとともに純真なものだったら! 雪がふかいときは人々は鉄の馬に雪沓ゆきぐつをはかせ、巨大なすきで山から海沿いにかけてうねをつくり
「お前何か食ひ度いものはないか」とか、「さうか、よし/\お前がすきなものなららう/\」
君! 軌道と軌道の接続点つなぎめにおおよそ二分ばかりの間隙すきがあるだろう、この間下壇したの待合室で、あの工夫のかしらに聞いたら一まいるにあれがおよそ五十ばかりあるとね
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
「まだ朝飯にありつかないんで、——あわてて飛出したが、すきぱらに小石川は遠すぎましたよ」
お弓町の宇佐美直記の屋敷は、さして廣くはありませんが、なか/\に數寄すきを凝らした構へで、宇佐美家の裕福らしさを端的に物語つてをりました。
私の祖父じじいつり所好すきでして、よく、王子おうじの扇屋の主人や、千住せんじゅの女郎屋の主人なぞと一緒につりに行きました。
夜釣の怪 (新字新仮名) / 池田輝方(著)
この若駒わかこまはかなり方々を彷徨ほうこうしたのだったが、今はひとりでにもどってきて、民族のすきにつながれようとしていた。数人の友の実例で十分だった。
つまり二重に張った天井の中間がようように腹ばいにはえるくらいの空隙すきになっていて、それが家じゅうの天井をおおいつくしていた。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
こぼるゝ幾筋の雪はづかしき頬にかゝれるほど、好色すきたる人に評させんは惜しゝ、何とやら觀音さまの面かげに似て、それよりは淋しく、それよりは美くし
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
青年の時代にくある一種の迷想から、丁度一生の運命を一時のたはむれに占ふやうに見える。『イン』と受けた文平もさるもの。故意わざと丑松の方角を避けて、うろ/\する仙太のすきいた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
段々雪が融けると、尾が消え、腹がむしられ、すきのような形をして、消えてしまうと語った、白い鳥は消えても、注意して見ると、岩壁かめしい赭色あかいろの農鳥は、いつ、いかなる時でも
雪の白峰 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
新九郎は無二無三に、彼の撃ち込む隙間すきもなく斬って斬って斬り捲くった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今弟のことばを聞いて、小婢しょうひの失踪したのと、土穴に腥羶せいせんの気があるのとの間に、何等かの関係があるように思った。そして同班の卒数人と共に、すきを持って咸宜観に突入して、穴の底を掘った。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
派出所の巡査など五六名の者は笊碁ざるごの仲間で、ことに自分と升屋とは暇さえあれば気永な勝負を争って楽んでいたのが、改築の騒から此方こっち、外の者はともかく、自分はほとんど何より嗜好すき
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
八五廿日あまりの月も出でて、古戸のすきに洩りたるに、夜の深きをもしりて、いざ休ませ給へとて八六おのれも臥戸ふしどに入りぬ。
の透く髪を一筋すき整然きちんと櫛を入れて、髯のさきから小鼻へかけて、ぎらぎらと油ぎった処、いかにも内君が病身らしい。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うつして夷歌いかによみつゞけぬるもそのかみ大黒屋だいこくやときこえしたかどのには母の六十の賀のむしろをひらきし事ありしも又天明てんめいのむかしなればせきぐちの紙のすきかへし目白の滝のいとのくりことになんありける
(塵取り、すききぬたなどを投げつけ、太郎吉を抱いて逃げ込む)
沓掛時次郎 三幕十場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
夫が「ちょっと出て来る」と云って出かけるたびに、「このすきに僕の日記を読んでおけ」と云われているように私は感じる。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
殊に大新嘗には国中の公田くでん悠紀ゆき主基すき卜定ぼくていして、その所産をもって祭儀の中心たるべき御飯おんいいの料にてられることになっていた。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかるに悠紀ゆき主基すき二殿内部の作法鋪設さほうほせつのごときものは、特に秘儀というまでの厳重さではなかったというにもかかわらず、ただその無限のとうとさの故に
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それで今度は社を大きく建て直すと、またいつの間にかそれを押し破ったといって、後にはよほど立派なお宮になっていたそうです。(隠州視聴合記。島根県周吉すき郡東郷村)
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
どんな菓子が好物すきだつたか、今思ひ出さうとしても思ひ出せないが、生れてから十年近くを過した四ツ谷塩町附近に、松風堂といふ菓子屋のあつたことを覚えてゐるのは不思議である。
甘い話 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
さあれ、風雅みやび數奇すきなりし
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
たくみにすきを窺へるナヴァルラの者、そのあしうらをもてかたく地を踏み、忽ち躍りてをさを離れぬ 一二一—一二三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
猪はゆらゆらと揺らめいたが、クルリと頭を立て直し、低くその頭を雪に付け、爛々たる眼で武兵衛を睨み、蹴られないための用心に怒り毛の背を低く縮め、静かに機会すきうかがい出した。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
裸なる身にあぶらうちぬり將に互に攻め撲たんとしてまづおさゆべき機會すきをうかゞふ勇士の如く 二二—二四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
でも、わたしたちの日給いくらだと思っているの。五十銭から七八十銭。月いくらになるか直してごらんよ。——淫乱すきなら無償ただでやらせらアねえ!
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
よく晴れた秋の日で、草の葉を揺るほどの風もなく、すき透るような空気の中に、翅虫はむしのうなりが静かに聞えていた。
藪落し (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
漸々やうやうの事で、最後の三等車に少許すこし空席すきを見付けて乗込むと、その扉を閉め乍ら車掌が号笛ふえを吹く。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
あの本棚の第二段目の空所すきは、せいぜい五六冊もあれば、きちんと埋まりますが、いかがですか? あの空所すきは何ですか不体裁でございますよ
すきぱらに聞くと、眼のまわりそうな声だ」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
南京蟲は物の罅隙すきに其の生を保つ。疾病が個人と社會とのピツタリと相合して居らぬ罅隙に於て、其の生存と繁殖との地を占めて居ることは、蔽ふ可からざることである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
民も又戦国の民なれば、一三六すきててほこへ、一三七農事なりはひをこととせず。士たるもの枕を高くしてねむるべからず。今のさまにては長く不きうまつりごとにもあらじ。
最後の一すきの土を墓穴へかぶせてしまって、お終いの挨拶がすむと、父子おやこはゆったりした歩調で家の方へ帰って行ったが、その一歩一歩がひどく大儀そうであった。二人とも無言だんまりで歩いていた。
(新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
諸王、諸臣、及び天下の百姓、ことごと長老おきなは愛児を失ふがごとく、塩酢之昧あぢはひ口に在れどもめず、少幼者わかきめる父母かぞうしなふが如くて、いさつる声、行路みちに満てり、すなは耕夫たがやすものすきを止め、舂女つきめきおとせず。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
御從軍おんとも御許おんゆるしあらば、面目めんぼくこれすきじとありければ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
と声をたてるすきもなく
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
武士の末流、浮浪ふろう、その他少数の智勇弁力の徒が、日に徳川の天下を顛覆てんぷくせんとそのすきうかがう時に際して、国民の多数は、酔生夢死すいせいむし、封建政治に謳歌おうかしたるもまたべならずや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
じようぶなすきが澤山あつたらよいなあ
半年ごとに、その期間の出勤日数百二十日以上のものは、一位のつむぎ三十疋、綿三十屯、布百端、すき百六十こうより従八位の絁一疋、綿一屯、布三端、鍫十口まで、官位に応じて禄をうける。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
荻生さんが心配して忙しい郵便事務のすきをみて、わざわざ弥勒みろくまで出かけて行くと、清三はべつに変わったようなところもなく、いつも無性ぶしょうにしている髪もきれいに刈り込んで
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
だからお前さんさえ開閉あけたてを厳重に仕ておくれならア安心だが、お前さんも知ってるだろう此里ここはコソコソ泥棒や屑屋くずやの悪いやつ漂行うろうろするから油断も間際すきもなりや仕ない。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)