すき)” の例文
図677は紀伊で使用されるすきの型である。これは山城で用いられるものと同様であるが、それ程頑丈でもなければ、また優雅でもない。
この仕事が早いとともに純真なものだったら! 雪がふかいときは人々は鉄の馬に雪沓ゆきぐつをはかせ、巨大なすきで山から海沿いにかけてうねをつくり
到るところしどろな悪草の茎を噛み、あらくれの蔦葛を満身に浴びて耕地から裡の台地へと。また深夜のどぎつ落暉いりひにうたれて、すきのたぐひを棄て去つた彼等。
逸見猶吉詩集 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
他所では馬に引かすすきを重そうに人間が引張って、牛か馬の様に泥水どろみずの中を踏み込み/\ひいて行く。労力ろうりょく其ものゝ画姿を見る様で、気の毒すぎて馬鹿〻〻しく、腹が立つ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
黒いとがった糸杉いとすぎの姿がところどころにそびえていた。その向こうには畑がうちつづいていた。閑寂だった。地をうなってる牛の鳴声や、すきを取ってる百姓のかん高い声が聞こえていた。
英蘭イングランドだったら開墾されるだろうと思われる土地で開墾されていないのはほとんど見受けず、そして英蘭イングランドではすきが触れたことがないような土地が、数多く耕やされているのを、確かに見た。
鎌だのすきだのをちをつたになあ! それに、ええ力持ぢやつた! ほんとに
その卵敗れてかえらずと、プリニウス説にこれを防ぐには卵の下草の下に鉄釘一本、またはすきのサキですくげた土を置けばやぶれずと、コルメラは月桂の小枝とニンニクの根と鉄釘を置けと言った。
山かげの田を鋤く人は馬持たず高きすきもてのびあがり鋤く
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
すきでもってすけちゅうだ、おえちゅうだよ。
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
薩摩と肥後の穀物畑では、変った型のすきが使用される(図574)。鉄のくつと剪断部とは、軽くて弱々しいらしいが、犁は土中で転石にぶつかったりしない。
まさに我を取りて以て夫と為すべし〉、牝虎答うらく〈汝項斛領甚だ高大、ただ車を駕しおよびすきを挽くに堪えたり、いかんぞこの醜き身形をもてたちまち我がために夫主とならんと欲するや〉
草ごみに荒く切りゆく田の土はすき刄型はがたの紫のくれ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
日本のすきに変種が多いことは、まことに興味がある。その基型は支那から来たのであるが、国々によって形に著しい相違がある。図698は日本で最も原始的な犁を示す。
草ごみに荒く切りゆく田の土はすき刃型はがたの紫のくれ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)