すき)” の例文
日本のすきは非常に不細工に見える(図51)。だが、見た所よりも軽い。鉄の部分は薄く、木部は鳩尾ありさしのようにしてそれに入っている。
この若駒わかこまはかなり方々を彷徨ほうこうしたのだったが、今はひとりでにもどってきて、民族のすきにつながれようとしていた。数人の友の実例で十分だった。
バサウリュークはすきを渡しながら、『あすこを掘るのぢや、ペトゥロー、あすこにやあな、お主やコールジュが夢にも見たことのないやうな黄金かねがたんまり埋まつてをるのぢや。』
しかるに論者は一方においては冗官じょうかんすべし、不急の土木を廃すべし、地税を減ずべしと疚痛惨怛きゅうつうさんたん、かのしゅんが歴山の野にすきによってたたずみ、旻天びんてんに号哭したるがごとく嘆訴すれども
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
それで駅次馬えきつぎうまは少ししかいないし、馬はみな野良のらに出てます。ちょうどこれからすきを入れる時だから馬がいるんです。どこの馬も、駅のもなにもかも、そっちに持ってゆかれてるんです。
大工にも棺槨かんかくあつらえ、みずからすきをとりて墓を掘り、父老、女房、勇蔵夫婦の朋友を呼びて野辺送りに立たしめたり、阿園が尼になるの一事は、里方は痛く怒りたれど、これも彼が周旋にて
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
埋まっている壺を、お前のすきで日向へ掘り出せ。
又別の区分にはすきくわ、その他あらゆる農業用具があり、いくつかの大きなテーブルには米、小麦、その他すべての日本に於る有用培養食用産品が、手奇麗にのせてあった。
目を挙げて経済世界のありさまを見れば、秋風寂寞せきばく、満目荒涼、ただ黄面痩骨そうこつ、人鬼相半ばするの老若男女がすきを揮い、を握るを見るなり。その従事する職業はもとより自由の職業にあらず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
客は荒田こうでんと近ごろすきを入れた畠との間を、拾うようにして進まなければならなかった。チチコフはそろそろ疲れを覚えはじめた。ともすれば足の下からじくじくと水の浸み出すような箇所ところが多かった。