“奴”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
やつ49.1%
21.9%
やっこ16.6%
やつこ5.3%
いつ2.1%
0.6%
ヤツコ0.5%
うぬ0.4%
0.3%
うな0.2%
おの0.2%
しもべ0.2%
げなん0.2%
0.2%
きやつ0.1%
つぶね0.1%
0.1%
0.1%
うん0.1%
がき0.1%
きや0.1%
さかな0.1%
しもをとこ0.1%
ちご0.1%
0.1%
0.1%
もの0.1%
やざ0.1%
やち0.1%
やっ0.1%
やっこの0.1%
やッ0.1%
ヤッコ0.1%
ヤツ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「往来で物を云いかける無礼なやつ」と云う感情をたちま何処どこへか引込めてしまって、我知らず月給取りの根性をサラケ出したのである。
途上 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「何ぬかす、あんぽんたん。わいが寝こんでしもて、孫がどうなるもんか。ベンゲットの他あやんは、敲き殺しても死なへんぞ。」
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
やっこ、万盛庵、梅園、来々軒、一仙亭、透きなく並んだ両側の提燈の記名は間もなくそう「活動写真」から「飲食店」に移って行った。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
「隱したつて駄目だよ、證據は銀流しのかんざしだ。柳橋で藝妓のやつこを殺したのを手始めに、四人まで手にかけた、お前は鬼のやうな女だ」
「おっと、待てよ。これは悴の下駄を買うのを忘れたぞ。あいつ西瓜すいかが好きじゃ。西瓜を買うと、おれもあ奴も好きじゃで両得じゃ。」
(新字新仮名) / 横光利一(著)
むかし唐土もろこし蔡嘉夫さいかふといふ人間ひと、水を避けて南壟なんろうに住す。或夜おおいなる鼠浮び来て、嘉夫がとこほとりに伏しけるを、あわれみて飯を与へしが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
人もしらぬヤツコなれバよろしく候得ども、今ハどふもそふゆうわけニハまいらず、もしおまへさん出かけたれバ、どふしても見すてゝハおかれぬ。
「駄目な事だ。いくらもがいてもこの小六が逃がすものか。さッ、来なければうぬ一突きだぞ」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつもやったら私が少しだだねたら、「しょうのないッちゃなあ」いうて、ええ加減にあきらめてしまいますのんに
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「ばか。うなの家来になど、ならなぃ。殺さば殺せ。」
種山ヶ原 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
おのれ小娘、覚悟をしろ。こんな悪戯わるさをして俺の大切な役目を破ったからには生かしておく事は出来ないぞ。どうするか見ておれ」
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「また受造者つくられしものみづから敗壊やぶれしもべたることを脱れ神の諸子こたちさかえなる自由にいらんことをゆるされんとの望をたもたされたり」(羅馬書第八章二十一節)とあるは即ちこれなり。
主のつとめ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
じょちゅうげなんあやまちをしでかして、主婦に折檻せっかんせられるような時には、嬰寧の所へ来て、一緒にいって話してくれと頼むので、一緒にいってやるといつもゆるされた。
嬰寧 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
若いに目をかけたり、腕のすぐれた年増芸者と張り合つたりして居るのに気がついてくる、矢も楯もたまらないやうになつて、彼は男の心の逃亡を引つつかまへようとして
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
徐々そろ/\ぬぎかけ座敷へ上らんとするに下男の彌助心のうち彌々いよ/\迷惑めいわくに思ひきやつに何とか云て何れにもとまらぬやう追出して仕廻しまはんともじ/\手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おなじ六八浅ましきつぶねなりとも、みやこは人の情もありと聞けば、かれをば京に送りやりて、六九よしある人に仕へさせたく思ふなり。我かくてあればよろづに貧しかりぬべし。
かくてこそ一家は円滑に、その営みはよく治まって参りますが、仮に、その家の主が、ともなりともなり、独りですべてをなそうとしたらどうなりましょう。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ですから同行のは恐ろしがってなるべくその視線からのがれるようにして居るけれども、私はその強盗の進んで来る方向に向って進んだです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
金田 うんこそなんか、そぎやんふとあしば、やあち……。おい、とみ公、コンニヤクを一杯……。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「おゝ/\わるがきがの……そこが畜生ちくしやうあさましさぢや、澤山たんとうせいよ。ばいて障子しやうじければ、すぐに人間にんげんもどるぞの。」と、ばあさんは、つれ/″\の夜伽よとぎにするで、たくみ
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぬすみ取んと彼曲者かのくせものは半四郎が寢たる夜着よぎわきより徐々そろ/\と腹のあたりへ手を差入さしいれければ後藤は目をさましはてきやつめが來りしぞと狸寢入たぬきねいりをしてひそかにそばの夜具を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「アトから古い漁師に聞いてみましたら、それは珍らしいものを見なさった。それはやっぱり鮫の仲間で、鯨の新婚旅行には附き物のマクラうおチウさかなで……」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ねたみふかき者なるが、此事をもれ聞きて瞋恚しんいのほむらに胸をこがし、しもをとこをひそかにまねき、『かの女を殺すべし、よく仕了しおほせなば金銀あまたとらすべし』
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その次には金香炉きんこうろ及び種々の宝物箱ほうぶつばこを持ったちごが出て来まして、気狂きちがいはその後から来るのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
『ナニ。生きとるかも知れん。馬鹿け。見てんやい。眼球ア白うなっとるし、睾丸きんたまも真黒う固まっとる。浅蜊あさり貝の腐ったゴト口開けとるばドウするケエ』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
たい院長が降りてゆくと、階下の物音はすぐやんだ。そして彼はまもなくくろのようなかちかちに肉のまった凄い男を一人つれて階上へもどって来た。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「北京にゐるやつは、何うも行くのをいやがりましてな。何しろ遠いんですから。向うから来てゐるものでないと、何うしても行かうとは言はないんです?」
(新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
泥棒どろぼうなんぞするやざあ、わし大嫌だえきれえでがすから、わしはたけ茄子なすもぎつたんだつてちやんとつちやんでがすから、いやまつたくでがす、お内儀かみさんとこ甘藷さつまりあんしたとも
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
で、胴肩を一つにゆすり上げて、(大胆ものめが、土性骨の太いやちや。主人のものだとたかをくくって、大金を何のかすとも思いくさらん、乞食を忘れたか。)
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「えげつないやっちゃな」
一九二七年春より (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
秀調の針妙水無瀬しんみょうみなせは小町の難義を救ふ役なるが、作者がえたいの知れぬものを拵へしため、やっこの小万が戸迷とまどひをしたといふ形あり。
これ粂之助ちょっと此処これへ来い、おのれはまだ年は十九で、虫も殺さぬような顔附をして居るが太いやッちゃ、ていよくお嬢様を誘い出して、不忍弁天の池のふちの淋しい処でお嬢様を殺して、金を取って
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
貞奴の旅情をなぐさめるためにと、旅宿の近所で花火をあげさせてばかりいた男の事や、彼女の通る街筋まちすじの群集が、「ヤッコヤッコ」と熱狂して馬車を幾層にも取廻とりまいてしまったという事や
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
 体中をもって狂いまわる血のヤツめが思う御人の前にその体をつきたおすのじゃ。
葦笛(一幕) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)