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やつこ
ふりがな文庫
“
奴
(
やつこ
)” の例文
「隱したつて駄目だよ、證據は銀流しの
簪
(
かんざし
)
だ。柳橋で藝妓の
奴
(
やつこ
)
を殺したのを手始めに、四人まで手にかけた、お前は鬼のやうな女だ」
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さては相見ての後のたゞちの短きに、戀ひ悲みし永の月日を恨みて三
衣
(
え
)
一
鉢
(
ぱつ
)
に
空
(
あだ
)
なる
情
(
なさけ
)
を觀ぜし人、
惟
(
おも
)
へば
孰
(
いづ
)
れか戀の
奴
(
やつこ
)
に非ざるべき。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
此處の歌は七首の聯作で、ほかの歌には、『後悔いむかも
鈍
(
おぞ
)
の亞米利加』とあつたり、『罪をはや知りて
贖
(
あがな
)
ひまつれ亞米利加
奴
(
やつこ
)
』
愛国歌小観
(旧字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
もともと
奴
(
やつこ
)
といふ名からして、大昔から
貶
(
いやし
)
められ、罵しられた卑稱で、あやつ、こやつ、やつ、やつこ、
家
(
いへ
)
の子、
家
(
や
)
ツ子だといふことだ。
凡愚姐御考
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
耿紀
(
こうき
)
、
韋晃
(
いこう
)
たちは、前の日から休暇を賜わって、各〻の邸にいた。手飼いの郎党から召使いの
奴
(
やつこ
)
までを加えると四百余人はいる。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
豆猿といふのは、ポケツトや
掌面
(
てのひら
)
のなかにでも
円
(
まる
)
め込んでしまはれさうな小さな猿で、支那でも湖南あたりにしか見受けられない
奴
(
やつこ
)
さんだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と
喚
(
わめ
)
くと、
縁
(
ふち
)
を
這𢌞
(
はひまは
)
り/\、
時々
(
とき/″\
)
倒
(
さかしま
)
に、
一寸
(
ちよつと
)
指
(
ゆび
)
の
先
(
さき
)
を
入
(
い
)
れては、ぶる/\と
手
(
て
)
を
震
(
ふる
)
はして
居
(
ゐ
)
た
奴
(
やつこ
)
が、パチヤリと
入
(
はひ
)
つて
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それとも、
奴
(
やつこ
)
さん、もう上つて来ないつもりかな。またひとつ、慰めなけれやならない種を蒔いちまいました。何処まで惨めな男だかわかりませんよ。
頼母しき求縁(一幕)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
其の人を
七〇
奴
(
やつこ
)
のごとく見おとし、たまたま
旧
(
ふる
)
き友の
寒暑
(
かんしよ
)
を
訪
(
とむら
)
ひ来れば、物からんためかと疑ひて、宿にあらぬよしを
応
(
こた
)
へさせつる
類
(
たぐひ
)
あまた見来りぬ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
八絃
(
やつを
)
の琴を
調
(
しら
)
べたるごと
六
、天の下
治
(
し
)
らし
給
(
た
)
びし、
伊耶本和氣
(
いざほわけ
)
の天皇
七
の御子、市の邊の押齒の
王
(
みこ
)
の、
奴
(
やつこ
)
、
御末
(
みすゑ
)
八
。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
此家
(
こヽ
)
にも
學校
(
がくかう
)
にも
腦病
(
なうびやう
)
の
療養
(
れうやう
)
に
歸國
(
きこく
)
といひ
立
(
た
)
て、
立
(
たち
)
いでしまヽ
一月
(
ひとつき
)
ばかりを
何處
(
いづく
)
に
潜
(
ひそ
)
みしか、
戀
(
こひ
)
の
奴
(
やつこ
)
のさても
可笑
(
をか
)
しや、
香山家
(
かやまけ
)
の
庭男
(
にはをとこ
)
に
住
(
す
)
み
込
(
こ
)
みしとは。
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「蔵に行くと、いろんな衣裳が沢山あるぢやないか。あいつを一番持出して、裃を着たい奴は裃、鎧武者に
扮
(
な
)
りたい力持は甲を被り、
奴
(
やつこ
)
になりたい者は——」
夜の奇蹟
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
圭子のところで、いつも
謳
(
うた
)
つてゐた「
奴
(
やつこ
)
さん」だとか、「おけさ踊るなら」も、人々の笑ひの
種子
(
たね
)
だつた。
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「三宝の
奴
(
やつこ
)
と仕へ
奉
(
たてまつ
)
れる天皇の命を大前に奏す」という言葉をもって始まるこの奏文は、我が
古神道
(
こしんとう
)
を絶対とする心からは、とかく非難されてきたものである。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
◎其
翌年
(
ママ
)
(慶応二年)の正月十九日の晩長州へ行つて居た龍馬と新宮馬次郎と池内蔵太とマ一人私の知らぬ男とが一人の
奴
(
やつこ
)
を連れて都合五人で寺田屋へ帰りました。
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
寺の
奴
(
やつこ
)
が三四人先に立つて、僧綱が五六人、其に、所化たちの多くとり捲いた一群れが、廬へ来た。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
仁助 一文
奴
(
やつこ
)
の出る幕ぢやあねえ、引込んでゐろ。こつちは手前達を相手にするんぢやねえや。
番町皿屋敷
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
下におりてゐた
馬丁
(
べつたう
)
、これも二人、いづれも大名行列の
奴
(
やつこ
)
に似たやうな揃ひの服装をして、何やら金ぴかの大きな紋章をつけた真黒な円い笠をかぶつてゐた其の姿であつた。
冬の夜がたり
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
のつそり十兵衞と口惜い
諢名
(
あだな
)
をつけられて居る
奴
(
やつこ
)
でござりまする、然し御上人様、
真実
(
ほんと
)
でござりまする、
工事
(
しごと
)
は下手ではござりませぬ、知つて居ります私しは馬鹿でござります
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
萼
(
がく
)
のいろ雨に浮きたり。呼びそめぬ、ラヂオのニユース、フラン落ち、巴里暴動す、ポアンカレーまた世に出でむ。子らよよし、
冷麥
(
ひやむぎ
)
食べむ、實山椒は
奴
(
やつこ
)
につけむ、月待ちがてら。
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その香りは又しても私の心底へ「恋の
奴
(
やつこ
)
の哀れさ」を想起せしめるに充分であつた。
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
いたづらにまぼろしの
奴
(
やつこ
)
となるこそくちをしけれ、山は靜かにして性を養ひ、水は動いて情を慰むとかや、内に動き、外に亂れて、山水我を顧るのいとまなく、我亦山水を顧るのいとまなく
山家ものがたり
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
橘諸兄に告げしめて「三宝の
奴
(
やつこ
)
と仕へ奉る」と、そして
敬々
(
うやうや
)
しく礼拝した。
道鏡
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
若松屋惣七は、町人らしい縞の着物にその杖をついて、江戸川を渡って、
築土片町
(
つくどかたまち
)
のほうから
矢来下
(
やらいした
)
へ抜けて行った。陽がかんかん当たって、走りづかいの
奴
(
やつこ
)
などの笑い声のする往来であった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
いなと言へど
攫
(
つか
)
みかかりて皺よりてすべなきものは老の
奴
(
やつこ
)
ぞ
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
伴へる支那の
奴
(
やつこ
)
が指立てぬ時を問へるや恋を問へるや
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
奴
(
やつこ
)
さんの小法師も
青い眼の人形
(新字新仮名)
/
野口雨情
(著)
「外ぢや御座いません、——あの柳橋で殺された吉原藝妓の
奴
(
やつこ
)
——あの
妓
(
こ
)
のことに付きまして、親分に伺ひたいことが御座います」
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
迷の
羈絆
(
きづな
)
目に見えねば、勇士の刃も切らんに
術
(
すべ
)
なく、あはれや、鬼も
挫
(
ひし
)
がんず六波羅一の
剛
(
がう
)
の
者
(
もの
)
、
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか戀の
奴
(
やつこ
)
となりすましぬ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
「
験
(
しるし
)
」は効験、結果、甲斐等の意味に落着く。「天ざかる
鄙
(
ひな
)
の
奴
(
やつこ
)
に
天人
(
あめびと
)
し
斯
(
か
)
く恋すらば生ける
験
(
しるし
)
あり」(巻十八・四〇八二)という家持の用例もある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
誰
(
だれ
)
だと
思
(
おも
)
ふ、
嚊
(
かゝあ
)
が
長
(
なが
)
の
煩
(
わづらひ
)
でなけりや、
小兒
(
がき
)
なんぞ
連
(
つ
)
れちや
來
(
こ
)
ねえ。
恁
(
か
)
う、
奴
(
やつこ
)
、
思切
(
おもひき
)
つて
飛込
(
とびこ
)
め。
生命
(
いのち
)
がけで
突入
(
つツぺえ
)
れ!
汝
(
てめえ
)
にや
熱
(
あつ
)
いたつて、
父
(
ちやん
)
にはぬるいや。
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
持山 いや、別に待つてもゐないが、
生憎
(
あいにく
)
、留守番を頼まれたんでね。なに、ぶらつと金を借りに来たら、それを云ひ出さないうちに、
奴
(
やつこ
)
さん、出かけちまつたんだ。
雅俗貧困譜
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「これだ/\。自分が見たいと思つてるのは。
奴
(
やつこ
)
さんやつぱり
懐中
(
ふところ
)
に
捻
(
ね
)
ぢ込んで御座つたな。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
(播磨はお菊を突き放して、刀をひき寄せる。下の方より庭づたひに
奴
(
やつこ
)
權次走り出づ。)
番町皿屋敷
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
泣きたいやうな、それほど我は腑の無い
奴
(
やつ
)
か、恥をも知らぬ
奴
(
やつこ
)
と見ゆる歟、
自己
(
おのれ
)
が為たる仕事が
恥辱
(
はぢ
)
を受けてものめ/\面押拭ふて自己は生きて居るやうな男と我は見らるゝ歟
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
蕚
(
がく
)
のいろ雨に浮きたり。呼びそめぬ、ラヂオのニユース、フラン落ち、巴里暴動す、ポアンカレーまた世に出でむ。子らよよし、
冷麦
(
ひやむぎ
)
食べむ、実山椒は
奴
(
やつこ
)
につけむ、月待ちがてら。
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
表
(
おもて
)
の
鹽物
(
しほもの
)
やが
野郎
(
やらう
)
と一
處
(
しよ
)
に、
蜆
(
しゞみ
)
を
買
(
か
)
ひ
出
(
だ
)
しては
足
(
あし
)
の
及
(
およ
)
ぶだけ
擔
(
かつ
)
ぎ
廻
(
まわ
)
り、
野郎
(
やらう
)
が八
錢
(
せん
)
うれば十
錢
(
せん
)
の
商
(
あきなひ
)
ひは
必
(
かな
)
らずある、一つは
天道
(
てんたう
)
さまが
奴
(
やつこ
)
の
孝行
(
かう/\
)
を
見徹
(
みとほ
)
してか、
兎
(
と
)
なり
角
(
かく
)
なり
藥代
(
くすりだい
)
は三が
働
(
はたら
)
き
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
江戸時代のそれが
奴
(
やつこ
)
です。これが世を風靡して、高い位置についてゐる人にも伝染し、旗本奴となり、又京都迄伝染して公卿や宮中の女の人にも奴風が模倣されます。これを歌舞妓風と言つてゐます。
無頼の徒の芸術
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
苦むるこころの鬼の
奴
(
やつこ
)
こそうき身はなれぬ影にしありけれ
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
風立ちぬ車の
奴
(
やつこ
)
城内のちまきに走り帰りこぬかな
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
奴
(
やつこ
)
凧よ
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
この
奴
(
やつこ
)
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
奴
(
やつこ
)
の眼を突いて一と思ひに殺し、その上怨みある萬三郎の羽織の紐を千切つて死體の手に握らせるやうな小細工までしたのでした。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
思
(
おも
)
はず
笑
(
わら
)
つたが、これは
分
(
わか
)
らなかつた。
奴
(
やつこ
)
はけろりとして、
冷
(
つめた
)
いか、
日和下駄
(
ひよりげた
)
をかた/\と
高足
(
たかあし
)
に
踏鳴
(
ふみな
)
らす。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
親にも
主
(
しゆう
)
にも振りかへて戀の
奴
(
やつこ
)
となりしまで慕ひし横笛。世を捨て樣を變へざれば、吾から懸けし戀の
絆
(
きづな
)
を
解
(
と
)
く由もなかりし横笛。其の横笛の音づれ來しこそ意外なれ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
「ところが、
奴
(
やつこ
)
さん
達
(
たち
)
、御覧の通りの始末でとんと私を慈善家にする機会を与へて呉れない。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
さもなくつてさへ、
奴
(
やつこ
)
さんを僕が軽蔑してるといふんで、再三抗議を提出してますからね。
五月晴れ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
悪いことや曲つたことは決して仕ませぬが取り上せては分別の無くなる困つた
奴
(
やつこ
)
で、ハイ/\、悪気は夢さら無い奴でござります、ハイ/\其は御存知で、ハイ有り難うござります
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
表の塩物やが野郎と一処に、
蜆
(
しじみ
)
を買ひ出しては足の及ぶだけ担ぎ廻り、野郎が八銭うれば十銭の商ひは必らずある、一つは天道さまが
奴
(
やつこ
)
の孝行を
見徹
(
みとほ
)
してか、となりかくなり薬代は三が働き
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
供
(
とも
)
の
奴
(
やつこ
)
さへこのやうに、あれわいさの、これわいさの、取りはづす
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“奴”の意味
《名詞》
(やっこ)(家つ子の転)家来、家の子。
(やっこ)徳川時代における武家の下僕、中間。
(やっこ)徳川時代の侠客。
(やつ)人や物などをぞんざいに言う語。
(出典:Wiktionary)
“奴”の解説
奴(やっこ)は、江戸時代の武家の下僕のこと。『古事記』が編纂された古代においては奴は奴隷階級を意味したと考えられる。
(出典:Wikipedia)
奴
常用漢字
中学
部首:⼥
5画
“奴”を含む語句
彼奴
奴婢
奴隷
彼奴等
奴輩
何奴
奴等
奴僕
這奴
黒奴
奴凧
匈奴
守銭奴
此奴等
畜生奴
小奴
冷奴
農奴
渠奴
爺奴
...