冬の夜がたりふゆのよがたり
何歳ごろの事であつたか、はつきりとは思返すことができないのであるが、然し其時の記憶は半世紀あまりを過ぎた今日に至るまで、かすかながら心の奥に残されてゐる。 それは夏でもなければ冬でもなかつたらしい。とすれば、春も暮行くころか、さらずば秋も酣 …