“彼奴”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あいつ54.4%
きゃつ34.4%
かやつ3.8%
きやつ3.2%
やつ1.5%
あやつ1.1%
あれめ0.6%
かれめ0.4%
かれ0.2%
やいつ0.2%
やつら0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼奴あいつなら聴いても差支えないどころか、吾輩の話のタッタ一人の証人なんだ。吾輩が死んでも、彼奴あいつの報告を聞けば一目瞭然なんだ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
どう考えても怪しい気がしてなりませんので取敢えず閣下に彼奴きゃつ写真スナップをお送りしておいて、ここまでアトをけて来た訳ですが……
人間レコード (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いよいよ悪象ファッツに走り懸ると彼奴かやつ今吐いた広言を忘れ精神散乱して杼も餅も落し命辛々からがら逃げ走る、その餅原来尋常の餅でなく
これはひとつ、真直ぐに新聞社へ駆けつけて、いち早く、彼奴きやつの特徴を詳細に書いた広告を出すことにしようと肚をきめたのである。
(新字新仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
どうせ縹致きりょうなんぞに望みのあるわけアねえんだがね。……その点は我慢するとしても、彼奴やつには気働きというものがちっともありゃしねえ。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
汝らが迅速なれば、その襟がみをつかんで、彼奴あやつ捕虜とりことなすこともできる。——それっ、近づいてきた。かかれっ
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さむれば昨宵ゆうべ明放あけはなした窓をかすめて飛ぶからす、憎や彼奴あれめが鳴いたのかと腹立はらだたしさに振向く途端、彫像のお辰夢中の人にははるか劣りて身をおおう数々の花うるさく
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼奴かれめ敵手あいてとならんこと覚束おぼつかなし、わらわ夜叉神やしゃじんに一命を
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼奴かれは私に見られたことなど少しも気づいていないのですから、きっと街道筋へ出るに相違ありません。そこへ気がつくと、私はやにわに、湖畔亭の前を通っている村道に駈つけました。
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
誰が舟をひっぱって行く! 誰が誰が!(水門の上の巨人の姿、ヨハナーンの眼に映る)彼奴やいつが! 畜生! 彼奴が! お姉様を! 彼奴が水門の上でお姉様を呼んでいる。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
……彼奴やつらの数学は、生徒職員の数と、夏冬の休暇に支給される鉄道割引券の請求歩合と、自分の月給の勘定ぐらいにしか役に立たないのだ。ハハハ……。
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)