“掠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かす90.0%
さら7.1%
かすむ0.6%
かすめ0.4%
す0.4%
カス0.4%
から0.2%
と0.2%
か0.2%
かそ0.2%
くす0.2%
ぬす0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
水面を掠(かす)めてとぶ時に、あの長い尾の尖端が水面を撫(な)でて波紋を立てて行く。それが一種の水平舵(すいへいだ)のような役目をするように見える。
浅間山麓より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「ばかなやつだ」と六郎兵衛は手酌で飲んだ、「ちょっと油断をしてみろ、一ノ関がすぐに掠(さら)ってゆくぞ、きさまは頭の悪いやつだ」
神事(じんじ)をはれば人々離散(りさん)して普光寺に入り、初(はじめ)棄置(すておき)たる衣類(いるゐ)懐中(くわいちゆう)物を視(み)るに鼻帋(はながみ)一枚だに失(うす)る事なし、掠(かすむ)れば即座(そくざ)に神罰(しんばつ)あるゆゑなり。
連て殺されたなどと然樣(さやう)に自由に成(なる)と思ふか公儀(こうぎ)を僞(いつは)り掠(かすめ)んとする横道(わうだう)者めコリヤ安五郎今(いま)一應白妙が事故を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「これは藪という旗本の宝、木曽街道の松並木で私の相棒が掠(す)りました」
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ソノ後、海内一ニ帰(キ)スルコト三年、又モ獼猴(ミコウ)(さる)ノゴトキ者、天下ヲ掠(カス)ムルコト三十余年、始メテ、大凶変ジテ一元(ゲン)ニ帰セム
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
岩角に突っ張った懸命の拳(こぶし)を収めて、肩から斜めに目暗縞(めくらじま)を掠(から)めた細引縄に、長々と谷間伝いを根限り戻り舟を牽(ひ)いて来る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「我は宝剣と玉を掠(と)った。」
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
敬太郎は主人一人の眼を掠(か)すめるのにさえ苦心していたところだから、この上下女に出られては敵(かな)わないと思って、いや宜(よろ)しいと云いながら、自分で下駄箱の垂(たれ)を上げて、早速靴を取りおろした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「その御子を取らむ時に、その母王(ははみこ)をも掠(かそ)ひ取れ五。御髮にもあれ、御手にもあれ、取り獲むまにまに、掬(つか)みて控(ひ)き出でよ」
國「そればかりじゃアないよ孝助は殿様の物を掠(くす)ねるから、お前孝助と一緒にいると今に掛り合いだよ」
その間にも或る夜の畑の中で盗人を見つけた一人の村人が、永追いをして斬られ、深傷(ふかで)を負った。そして畑の作物は掠(ぬす)み取られ、いやがうえに村人の憤(いきどお)りを駆(か)り立てることになったのである。
野に臥す者 (新字新仮名) / 室生犀星(著)