“くす”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
42.3%
20.3%
12.2%
5.6%
5.6%
4.9%
玖珠2.4%
2.1%
1.4%
0.7%
国栖0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
義太郎 (苦しそうに咳をしていたが、弟を見ると救い主を得たように)末か、お父や吉がよってたかって俺を松葉でくすべるんや。
屋上の狂人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「寝ようッたって寝かしゃしないわよ。———浜さん、まアちゃんを寝かしちゃ駄目よ、寝そうになったらくすぐってやるのよ。———」
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
なんと言っても蛤御門の付近は最も激戦であった。この方面は会津、桑名くわなまもるところであったからで。皇居の西南にはくすの大樹がある。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
敗れた正成、正季まさすえらの一族はどう逃げ道をとったか? 昔は、この地方一帯にくすが多かったという川辺氏の話の端にも興味はつきない。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
汝らは聖書に『造家者いえつくりらの棄てたる石は、これぞ隅の首石おやいしとなれる。これ主によりて成れるにて、我らの目にはくすしきなり』
其麽そんな時は、恰度ちやうど、空を行く雲が、明るい頭腦あたまの中へサッと暗い影を落した樣で、目の前の人の顏も、原稿紙も、何となしにくすんで、曇つて見える。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
豊後ぶんご玖珠くす地方のものは久留島武彦くるしまたけひこ氏が図示してくれられた。ただしここのは関東とちがって、小枝の方を長くして把手とってにしている。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
作物は何れもひどく威勢をがれた。殊にも夥しいのは桑の葉の被害だった。毎朝、くすんだ水の上を、蚕がぎくぎくうごめきながら流れて行った。
黒い地帯 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
怖いから眼をつぶったら、ガクリと音がしてうごいていた歯がぬけた。ポコンと穴があいて、血がいくらでも出る。口もゆすがせないで、きたない手でおじいさんは白い粉のくすりをつけてくれた。
旧聞日本橋:17 牢屋の原 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
 火もて消ちつゝ 言ひもかね 名づけも知らに くすしくも 座す神かも 石花海せのうみと 名づけてあるも その山の 包める海ぞ 不尽河と 人の渡るも その山の 水のたぎちぞ 日本ひのもとの やまとの国の しづめとも 座す神かも 宝とも なれる山かも 駿河なる 不尽の高峰は 見れど飽かぬかも
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
これは有名な国栖くすの奏などと併せ考うべきもので、国栖くすもやはり吉野山中の一種の山人やまびとでありました。
前の三には牡牛のごとき角あれども後の四には額に一の角あるのみ、げにかくくすしき物かつてあらはれしためしなし 一四五—一四七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
國「そればかりじゃアないよ孝助は殿様の物をくすねるから、お前孝助と一緒にいると今に掛り合いだよ」
鋳物いものの香炉の悪古わるふるびにくすませたると、羽二重はぶたへ細工の花筐はなかたみとを床に飾りて、雨中うちゆうの富士をば引攪旋ひきかきまはしたるやうに落墨して、金泥精描の騰竜のぼりりゆう目貫めぬきを打つたるかとばかり雲間くもま耀かがやける横物よこものの一幅。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
右の手で金を出すてえと、屹度左の手は物をくすねて居やあがる。両手で金を出すてえ奴は居無え、両手で物を盗ねる奴も居無えや。余っ程こんがらかって出来て居やあがる。
かんかん虫 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
藤原が右京の屋敷を出たのもの女の為に多くの金をつかい果し今は困窮してあしたに出てゆうべに帰る稼ぎも、女房にょうぼや母をすごしたいからだ、其の夫の稼いだ金銭をくすねて置けばこそ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しき是へ御上りあれといふゆゑ長八は御構下おかまひくださるなと其所へあが四邊あたりを見るにかべの方は破れたる二まい屏風びやうぶを立回し此方にはくづれ懸りし一ツべつゝひすみ鑄懸いかけか眞黒にくすぶりたるなべ一ツを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)