“いぶ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:イブ
語句割合
燻41.6%
訝17.5%
息吹13.5%
慰撫10.6%
審5.1%
不審2.6%
煤2.6%
悒0.7%
威武0.7%
怪訝0.7%
揺0.7%
薫0.7%
動0.4%
怪0.4%
欝0.4%
焚0.4%
焦0.4%
煉0.4%
煙0.4%
鬱陶0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
中には自分の重みの上になほその子供を帯にくゝりつけ垂れ下げられてゐる。そしてそれを遠巻に焚木の煙がじり/\と燻(いぶ)してゐる。
その夜万年屋のいないのを、同宿の者が訝(いぶ)かって女房に聞いたが、ただちょっと田舎へとのみで、委(くわ)しいことは言わなかった。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
かつては、余りに神格化されすぎた大楠公だったし、近来の研究では、その人を人間として息吹(いぶ)き返させる史料にも、じつに乏しい。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の慰撫(いぶ)はねんごろであった。その温情に遭うとまた、二人の客臣はよけいに涙にくれた。半兵衛はその体(てい)を見ているに忍びなかった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
實(じつ)に前後(ぜんご)の形勢(けいせい)と、かの七隻(せき)の船(ふね)の有樣(ありさま)とで見(み)ると、今(いま)や海蛇丸(かいだまる)は明(あきらか)に何事(なにごと)をか我(わが)軍艦(ぐんかん)に向(むか)つて信號(しんがう)を試(こゝろ)みる積(つもり)だらう。けれど私(わたくし)は審(いぶ)かつた。
いちど厠(かわや)へ立つ姿は見たが、すぐ部屋へもどったきり、武蔵は断じてこの部屋を出ていないといって不審(いぶ)かる。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
聞けば二日前の夜に敵が焼き払ったとのことであるが、以後、雨もないせいか、なお煤(いぶ)り煙っている土もある。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
悒(いぶ)せきこのやうなる日は籠りて語らず
忘春詩集:02 忘春詩集 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
何としても、秀吉のそれには、常に情味が伴っている。威武(いぶ)よく人を服せしめるか、情よく人心をつなぎ得るか。もし秀吉が二つのものを持ったらばと官兵衛はひそかに空想した。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう思うて、姥たちも、覚えただけの事は、郎女様のみ魂(たま)を揺(いぶ)る様にして、歌いもし、語りもして参りました。教えたなど仰っては私めらが罰を蒙(こうむ)らなければなりません。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
夏日はこれを薫(いぶ)して蚊を追うにもよし。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
などと、猫撫聲(ねこなでごゑ)で、仰向(あふむ)けにした小兒(こども)の括頤(くゝりあご)へ、動(いぶ)りをくれて搖上(ゆりあ)げながら、湯船(ゆぶね)の前(まへ)へ、ト腰(こし)を拔(ぬ)いた體(てい)に、べつたりと踞(しやが)んだものなり。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
うかれ男 はて怪(いぶ)かしい男共(をのこども)ぢや。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
ひさかたの雨(あめ)の降(ふ)る日(ひ)をただ独(ひと)り山辺(やまべ)に居(を)れば欝(いぶ)せかりけり 〔巻四・七六九〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
婦人(をんな)は炉縁(ろぶち)に行燈(あんどう)を引附(ひきつ)け、俯向(うつむ)いて鍋(なべ)の下(した)を焚(いぶ)して居(ゐ)たが振仰(ふりあふ)ぎ、鉄(てつ)の火箸(ひばし)を持(も)つた手(て)を膝(ひざ)に置(お)いて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
年中變らぬ稗勝(ひえがち)の飯に粘氣(ねばりけ)がなく、時偶(ときたま)夜話に來る人でもあれば、母が取あへず米を一掴み程十能で焦(いぶ)つて、茶代りに出すといふ有樣であつたから、私なども、年中つぎだらけの布(ぬの)の股引を穿(は)いて
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「焼くわけにも行くまい、硫黄で煉(いぶ)して、少しイキの悪くなったところを、手前ものの早桶にでも入れて泉水に沈めましょう」
燃え残りの焚火(たきび)がプスプスと、いつまでも煙(いぶ)っているような工合であった。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
ただ厭(いと)ふにはゆるは彼方(あなた)の親切にて、ふた親のゆるしし交際の表(おもて)、かひな借さるることもあれど、唯二人になりたるときは、家も園もゆくかたもなう鬱陶(いぶ)せく覚えて
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)