“あやし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
80.1%
6.6%
可怪4.4%
2.2%
1.5%
1.5%
不審0.7%
可恠0.7%
奇怪0.7%
0.7%
(他:1)0.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あやしい光物といっては、鼠がくわえ出したたらの切身が、台所でぽたぽたと黄色く光ったのを見て吃驚びっくりしたくらいなものです。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かくてもなお、我等がこの宇宙の間に罷在まかりあるをあやしまるるか。うむ、疑いにみはられたな。みひらいたその瞳も、直ちに瞬く。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
正面前の処へ、破筵やれむしろを三枚ばかり、じとじとしたのを敷込んだが、日に乾くか、あやしい陽炎となって、むらむらと立つ、それが舞台。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わがはかるところ正しくば、汝の登るはとある流れの高山よりふもとに下り行くごとし、何ぞあやしとするに足らんや 一三六—一三八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
おどろあやしんで、あと退さがって、しろうして見上みあげてゐる人間共にんげんども頭上とうじゃう
驚き見れば長高たけたかき老紳士の目尻もあやしく、満枝の色香いろかに惑ひて、これは失敬、意外の麁相そそうをせるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
常さんの、三日ばかり学校を休んだのはさる事ながら、民也は、それが夢でなくとも、さまで可恐おそろしいとも可怪あやしいとも思わぬ。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この二股坂と言うのは、山奥で、可怪あやしい伝説が少くない。それを越すと隣国への近路ちかみちながら、人界とのさかいへだつ、自然のお関所のように土地の人は思うのである。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人の形が、そうした霧のなかに薄いと、可怪あやしや、かすれて、あからさまには見えないはずの、しごいてからめたもつれ糸の、蜘蛛の幻影まぼろしが、幻影が。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
流れる水と、自分の恋と、電燈の輝きで美しい夜の大阪とを考えの中で比較してみると自分が、自分にあやしまれてくるほどおかしなものであった。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
大方かかる筋より人は恨まれて、あやしわざはひにもふなればと唯思過ただおもひすごされては窮無きはまりな恐怖おそれの募るのみ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かつて聞かざりし恋人が身の上の秘密よ、と満枝はあやしき興を覚えて耳を傾けぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この時参詣さんけいに来合せたものは、はじめ何事かとあやしみ、ようよう籤引の意味を知って、皆ひどく感動し、中には泣いているものもある。
堺事件 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
紇はあやしみながらその声をしるべにしてあがって往くと、大きな洞門があって、その前の花の咲き乱れた木の下で、数十人の美女が蝶の舞うように歌い戯れていた。
美女を盗む鬼神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
云ふ甲斐かひなきをつとを持ちけるよと心憂く思召おぼしめされける折柄、或夜夫の寝顔の上におぼえずはら/\と数行の御涙を落し給ふ。則重公ふと眼覚めてあやしみ給ひ
姉は私の硯箱を持って来た。私は眼に一丁字もない彼女が何をするのかと、あやしんだ。ところが姉は筆に墨をふくめて、いきなり私の顔へ、大きな眼鏡と髯とをかいた。それから私を鏡の前へつれて行った。
可哀相な姉 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
意外な安二郎の迎えを豹一は不審あやしんだが、実はお前の母親のことやがとわざとお君とも女房ともいわずに喋り出した安二郎の話をきくと、事情が分った。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
かうなるからは詮方がない。お前に暇を出したとて、お松の口が塞がぬ上は、やつぱり嘘が真実まことになる。さうでなうても、この間から、衆婢みんな可恠あやしう思ふてゐる、素振りが見えるに、なほの事、腹が立つてたまらなんだも。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
本船ほんせんあとふかの奇怪あやしふねあるひ印度洋インドやう大惡魔だいあくまかくれなき海賊船かいぞくせん
これによりて活胴いきどうを試みたく、ひそかに柳原の土手へ出で往来の者を一刀に殺害しけるが、ある夜飛脚を殺し、きっさきの止まりたるをあやしみ、懐中を探れば金五十両を所持せり。
三甚内 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
怪事あやし婦人ふじんかたけて連理れんり椅子いすならべたのは、美少年びせうねんのそれにあらず。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)