“穏”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
おだや32.7%
おだやか27.9%
おだ24.3%
おとな11.9%
おと1.3%
おとなし0.4%
おほ0.4%
やす0.4%
をだや0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
坊主が一人船に乗込むと海が荒れるということはよく昔から言うことで大分気にした人もありましたが海は至っておだやかでありました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
お嬢さんの感情を傷付けないように——彼女といえども商売があり、食って行かなければならないのだから、——私は充分おだやかに云った。
奥さんの家出 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そのかぜもなく、なみおだやかなであったから、おきのかなたはかすんで、はるばると地平線ちへいせん茫然ぼんやりゆめのようになってえました。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうして、突かれた紙帳は、おとなしく内側へ萎み、裾が、ワングリと開き、鉄漿おはぐろをつけた妖怪の口のような形となり、細い白い手が出た。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それからお吉はまた、二人が余りおとなしくして許りゐるので、店に行つて見るなり、少許すこし街上おもてを歩いてみるなりしたら怎だと言つて
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
民弥、猿若、もう駄目だ! おとなしく従いて来るがいい。アッハッハハ飛んでもない奴等だ、そんな小供や小娘に、裏掻かれるような俺達なら、とうの昔に縛られている……さあさあ帰れ従いて来い。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何時いつもいつも、梵音ぼんのんたへに深くして、おほどかなるは
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
知りつつもこの死地に陥りたるを悔いて、る方も無く惑へる宮が面色おももちやすからぬを見尤みとがめて、静緒はひそかに目をそばめたり。彼はいとどその目をおそるるなるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
わたしは四へんみまはした。かうした長い連続を積上げて行く一日一日のいかに平凡に、いかにをだやかであるかを思つた。日影は暑くなり出した。山には朝の薄いもやなびいて、複雑した影をひだごとにつくつた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)