“少許”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
すこし38.5%
すこしばかり26.9%
すこしばか5.8%
ちっと5.8%
せうきよ5.8%
しょうきょ3.8%
ちったあ3.8%
しばし1.9%
ちつと1.9%
ぽつちり1.9%
しようきよ1.9%
ちと1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
旦那様は少許震えて、穴の開く程奥様の御顔を熟視ますと、奥様は口唇嘲笑て、他の事を考えておいでなさるようでした。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
南の方の一段低い所には少許の残雪が萋々たる緑蕪の間に一脈の冬を蔵し、雪消の跡には白山小桜の紅葩があたりに華やかな色を添えている。
利根川水源地の山々 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
原は西南から東北に延びた舌状をなしていて、中央を細い沢が貫流し、周囲を落葉喬木に取り巻かれた草地に、針葉樹が少許り生えています。
日本アルプスの五仙境 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
蟀谷のところへ紫色の頭痛なんぞをって、うるんだ目付をして、物を思うような様子をして、へえ前の処女らしいところは少許もなかった。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
く、丁晋公臨終前半月、はず、香をいて危坐し、黙して仏経をす、沈香の煎湯を以て時々少許る、神識乱れず、衣冠を正し、奄然として化し去ると。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
氏はまた蒲公英少しと、とを採ってくれた。双方共に苦いが、蕗の芽はに苦い。しかしいずれもごく少許を味噌と共に味わえば、酒客好みのものであった。
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「そうお前のように、私にばかり言わせて……お前も少許言わなくちゃ狡猾いよ。あの方をお前はどう思うの」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
橋の上流下流にて花火を打揚ぐる川開きの夜の賑ひは、寺門静軒が記しゝ往時も今も異りなし。橋の下流少許にして東に入るの一水あり。これを
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
『あれ、少許其様な話は聞きやせんでしたよ。そんならさんが出来やしたかいなあ——長いこと彼処の家の娘も独身で居りやしたつけ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『今日はも頂きたくないと言つて、お少許食べましたばかり——まあ、朝から眠りつゞけなんで御座ますよ。彼様に眠るのが奈何でせうかしら。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
こゝより下は、左に小野某の小松島園あり、右に小松宮御別邸あり。小松島園より下は少許の草生地を隔てゝ墨田堤を望む花時の眺めおもしろく、白髯のの森も少しく見ゆ。
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「豊世——お前は私のことばかり心配なように言うが、自分のことも少許考えてみるが可い——そうまたお前のように周章てることは無いぞや」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)