“貼”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
88.4%
はり2.7%
1.8%
1.2%
てふ0.9%
ちょう0.9%
0.6%
はっ0.6%
0.6%
じょう0.3%
てう0.3%
でう0.3%
のり0.3%
はつ0.3%
ばり0.3%
へばり0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ハイカラなレッテルなどられ、ちゃんとしたびんでしたが、内容が濁っているのです。ウイスキイのドブロクとでも言いましょうか。
美男子と煙草 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そしてこの地方では、しかも一般にこの菓子を『はり菓子』と呼んで……ほら、見た事があるだろう?……葬儀用専門の飾菓子になってるんだ。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
という四本のくじれが出ても差支無しという涼しい料簡で、それで木村父子と氏郷とを鎖で縛ってにかわけたようにしたのかも知れない。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ガヤガヤしてたやつがぴったりまる。見る——なるほど、銀地ぎんじに短冊を散らしりにした屏風が、死人の枕頭ちんとうを囲むように、逆さに置いてあるのだ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
然るにわたくしは頃日このごろいちけみして一小冊子を獲た。藍界らんかいの半紙二十六枚のマニユスクリイで、茶表紙の上にてふしたせんに「糾繩抄」の三字が題してある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
もし彼の脳裏のうりに一点の趣味をちょうし得たならば、彼はく所に同化して、行屎走尿こうしそうにょうの際にも、完全たる芸術家として存在し得るだろう。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あやまちして身をほろぶることなかれと教ふるに、一六一恐れみかつよろこびて家にかへり、朱符を門にし、窓に貼して、おもき物斎にこもりける。
また白紙の札に妙な梵字ぼんじような字で呪文が書いてはってある。鍋被の女には歯というものがないようだ。いずれも虫が食ってしまったらしい。口中こうちゅうは暗いうつろである。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
千代紙リマゼ、キレイナ小箱、コレ、何スルノ? ナンニモシナイ、コレダケノモノ、キレイデショ?
走ラヌ名馬 (新字新仮名) / 太宰治(著)
おい、それだっても無銭ただじゃあいけねえよ、はばかりながら神方しんぽう万金丹、一じょう三百だ、欲しくば買いな、まだ坊主に報捨ほうしゃをするような罪は造らねえ、それともどうだお前いうことをくか。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
壁に木板の畫をてうしたる房に入り、檸檬リモネ樹の枝さし入れたる窓を見て、われはきのふの苦を忘れぬ。フラア・マルチノは我をペツポが許へはかへさじと誓ひ給へり。
梅の花は碧い空にすかして見た形が何とも言はれない。全く星である。空にでうされた星である。
樹木と空飛ぶ鳥 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
青苔あおごけ緑青ろくしょうがぶくぶく禿げた、湿ったのりの香のぷんとする、山の書割の立て掛けてある暗い処へ凭懸よっかかって、ああ、さすがにここも都だ、としきりに可懐なつかしじった。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
醫者いしや微笑びせうふくんだまゝしろいどろりとしたくすり陶製たうせいいたうへつて、それをこつてりとガーゼにつて、火傷やけどおほうてべたりとはつてぐる/\としろ繃帶ほうたいほどこした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
へやの奥の押入の前に立てた、新聞ばりの屏風の蔭に、コッソリとうずくまり込みながら、眼の前で、苦しそうに肩で呼吸いきしている福太郎の顔を、一心に見守っていた。
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ひのきがある。へいがある。むこうに二階がある。乾きかけた庭に雨傘がしてある。じゃの目の黒いふち落花らっか二片ふたひらへばりついている。その他いろいろある。ことごとく無意義にある。みんな器械的である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)