ちょう)” の例文
もし彼の脳裏のうりに一点の趣味をちょうし得たならば、彼はく所に同化して、行屎走尿こうしそうにょうの際にも、完全たる芸術家として存在し得るだろう。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
風邪薬かざぐすりを一ちょう凍傷しもやけ膏薬こうやく一貝ひとかい買ひに行つた話は聞かぬが、春のあけぼの、秋の暮、夕顔の咲けるほど、ほだゆる時、夜中にフト目のむる折など、町中まちなかめて芬々ぷんぷんにお
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ただし、これだけのお立会い残らずへはまわりかねる、おぼしめしでいい、前芸の見料として寸志のご喜捨を下された方々へ膏薬こうやくちょう、いやお志の多寡たかによっては、何十貼でもさしあげる。よろしいか。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)