“芬々”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ふんぷん69.0%
ぷんぷん20.7%
ふんふん6.9%
ふん/\3.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「捨てておけ。戦場で鍛えた体、夜露でくさめをするような気遣いはない。この暗い風の中には、菜の花のにおいが芬々ふんぷんとする——其方そちたちにもにおうか」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
辻には——ふかし芋も売るから、その湯気と、烏賊いかを丸焼に醤油したじ芬々ぷんぷんとした香を立てるのと、二条ふたすじの煙が濃淡あいもつれて雨になびく中を抜けて来た。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山の手の賤妓は揮発油きはつゆの匂をみなぎらしてお座敷に来り、カッフェーの女給仕は競馬石鹸の匂芬々ふんふんとして新粧を凝し千束町の白首しろくびは更にアルボース石鹸の臭気をいとわず。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
なさんとするに上り口の草鞋わらぢ草履ざうりなどの中に何やらふくさつゝみしものありて其にほ芬々ふん/\たり不審いぶかりながらひらきて見れば金の五六寸四方のはこの中に名香めいかうあり是はの人が落して行しならん今に心付ば取に來るべしと思しが待てども參らざれば其の夜はいね翌朝九助ちや
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)