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芬々
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ぷんぷん
辻には——ふかし芋も売るから、その湯気と、
烏賊を丸焼に
醤油の
芬々とした香を立てるのと、
二条の煙が濃淡あい
縺れて雨に
靡く中を抜けて来た。
「
芬々と香水の
匂がして、
金剛石の金の指環を穿めて、殿様然たる
服装をして、
好いに
違無いさ」
……
偖は今見たのは狐の
嫁入でなかったろうか?
後に
黄な菜の花が
芬々と烈しく匂うていた。
樟脳の匂いの
芬々するなかで、母親を相手に、
老婦はまたお
饒舌を始めていた。
芬々薫る処を、波々と、樽から
酌いでくれたから、私はごくごくと傾けた。
実に
美酒の鋭さは、剣である。
自分の
膚に手を触れて、
心臓をしつかと
圧へた折から、
芬々として
薫つたのは、
橘の
音信か、あらず、仏壇の
香の
名残か、あらず、ともすれば風につれて、随所
風邪薬を一
貼、
凍傷の
膏薬一貝買ひに行つた話は聞かぬが、春の
曙、秋の暮、夕顔の咲けるほど、
炉の
榾の
消ゆる時、夜中にフト目の
覚むる折など、
町中を
籠めて
芬々と
香ふ
路に
灘はござりませぬが、樽の香が
芬々して、
鮹も浮きそうな凪の
好さ。