“樟脳”のいろいろな読み方と例文
旧字:樟腦
読み方割合
しょうのう93.8%
しやうなう6.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
学校へ行く時、母上が襟巻えりまきをなさいとて、箪笥たんす曳出ひきだしを引開けた。冷えた広い座敷の空気に、樟脳しょうのうにおいが身に浸渡るように匂った。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
私の鼻は着物から放つ樟脳しょうのうの香を嗅ぎ、私の頬は羽二重の裂地きれじにふうわりと撫でられ、胸と腹とは信一の生暖かい体の重味を感じている。
少年 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
三十世紀の衣魚はことによると、樟脳しやうなうやナフタリンも食ふかも知れない。
変遷その他 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
わたしは唯樟脳しやうなうに似た思ひ出のにほひを知るばかりである。
わが散文詩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)