“炉”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方(ふりがな)割合
90.8%
いろり7.7%
ゐろり1.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今はの火も、ほたりの酒も、乃至ないし寝床の桃の花も、ことごとくいまわしい腐敗のにおいに充満しているとしか思われなかった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
道誉は、釜のかけてある一を前にあぐらをくみ、土岐左近はと見れば、茶堂の縁や窓に立って、潜む者はないかと、外をたしかめているふうだった。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この折りに見たをきった座敷や、愛蔵せられていた茶釜や、無一塵むいちじんの額面や、それらは今でも私の眼前にちらついて見えるようである。
左千夫先生への追憶 (新字新仮名) / 石原純(著)
すると甚内は云わない先に、わたしの心を読んだのでございましょう、悠々と胴巻どうまきをほどきながら、の前へ金包かねづつみを並べました。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
けれどあいにくなことには、ほうがだんだん心細こころぼそくなって、ありったけのまきはとうにやしつくしてしまいました。
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
一人の老婆がいろりそばへ坐って炉にかけた鍋の下をいていた。そして、その老婆のうしろの方には顔の白い一人の女が坐っていた。
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そうした彼の寂しい心は、いろりに火の燃える人の世の侘しさ、古さ、なつかしさ、暖かさ、楽しさを、慈母の懐袍ふところのように恋い慕った。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
いろり附近まわりに四人の男女が控えてた。男は怪量を上座じょうざしょうじてから四人をり返った。
轆轤首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
『寒いなア、馬鹿に寒くなつたな、火燵こたつでもやるかな』などと言つて、ふさいで置いたいろりを明ける。
初冬の記事 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
煤で光るたるきの下に大きないろりが一つ切ってあって、その炉の灰ばかりが、閉め切った雨戸の節穴からさし込む日光の温みにつれ、秋の末らしく湿り、また春の始めらしく軽く乾く。
毛の指環 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
頭には、ばかに高い帽子をかぶり、大きなゐろりを前に、広い部屋の中に住まつてゐました。
虹猫の大女退治 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
ものぶるゐろりのほとりうなじ垂れうれひしづめば
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ゐろりの火の光りで、鍵につけた札に書いてある字が読めました。
虹猫の大女退治 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)