“お”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:
語句割合
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(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そういう根本的な問題はしばらくいて、具体的に各種の文学の中に含まれている普通の意味での科学的要素の分布を考えてみよう。
文学の中の科学的要素 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
田舎にれてきた自分らがこの中で暮らすことはきまりの悪い恥ずかしいことであると、二人の女は車からりるのに躊躇さえした。
源氏物語:19 薄雲 (新字新仮名) / 紫式部(著)
すると其時夕刊紙面ちてゐた外光が、突然電燈つて、何欄かの活字意外んでた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
写真入れとなったバスケットは、のたなのかれたのでした。平常は、だれも、それにをつけるものもなかったのです。
古いてさげかご (新字新仮名) / 小川未明(著)
それでもころんだり、きたり、めくらめっぽうにの中をして行きますと、ものの五六も行かないうちに、やみの中で
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そうして、人馬の悲鳴が高く一声発せられると、河原の上では、なった人と馬と板片とのりが、沈黙したまま動かなかった。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
また一説にはこれら皆で実は尊者の名パトリックをノールス人がパド・レクルと間違え蟾蜍を(パダ)い去る(レカ)と解した。
と、れてきたにバサバサとめて、ひつかうとするけれど、ラランのやつはさつさとびながら、いたもので
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
罪を持ったものが衆人の沈黙の中で而も自分の殺した死体と一しょに置かれるということは、非常な恐怖を感ぜずにはられません。
三つの痣 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
細君から手移しにしつけられて、糟谷はしょうことなしに笑って、しょうことなしに芳輔いた。それですぐまた細君した。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
さて、屋根千人のまはりの土手千人といふ手分けして、からりて人々退けるはずであります。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
それは、オクターヴォ判型の書簡紙に二枚ほどのものでしたが、認め終ると、その上に金粉をいて、さらに廻転封輪しました。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
前夜の様子からしても、知っておらねばならぬ筈じゃ。そこへ拙者を案内してくれぬか。——さすれば、そちの罪はゆるしてやる。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
い長じてはべつべつな主君に仕え、年久しく会いもせず、たまたま、相見たと思えば、の使節たり、また一方の臣下たる立場から
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この歌を選んだのは、そういう直接性が私の心をいたためであるが、後世の恋歌になると、文学的に間接にち却って悪くなった。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
暫くして空から一つの桃がちて来た。それはよりも大きなものであった。彼の男は喜んで、それを堂の上の官人にたてまつった。
偸桃 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
立出三條の龜屋と云る旅籠屋宿りしに當所は大坂と違ひ名所古跡も多く名にし平安城の地なれば賑しきこと大方祇園清水
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
女学生は女学生で、このお面のカムフラージュによって、あこがれのボーイッシュ・ガールを、声をしまず声援することができた。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
この世に無用の長物は見当らぬ。いわんや、その性善にして、その志向するところ甚だ高遠なるわが黄村先生にいてをやである。
花吹雪 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「毎朝だからな、毎朝穿かせちゃ、やれねえぜ。覚えときな、英さん」と、いちど結んだをまた解いて、穿き方を教えてくれた。
しかし、袖子はまだ高等小学の一学年わるかわらないぐらいの年頃であった。彼女とてもかなしにはいられなかった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その手紙によると、あなたは彼女と恋にちた時に、不倫の思い出の何もかも打ち明けてしまわなければならなかったというのです。
事ここに至った縁起を述べ、その悦びを仏天に感謝し、かつは上人彼からの徳に帰すことをい、ここに短き筆をきたく思います。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
茶色表紙に青いとじ糸を使い、中の日本紙片面だけにをすったのを二つりにしてねとじた、純日本式読本でした。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
茶店のに腰を掛けて、渋茶を飲みながら評議をした。……春日野の新道一条勿論不可い。峠にかかる山越え、それも覚束ない。
栃の実 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
新人が立ち、旧人はわれ、い機構は、局部的にされてゆく。そしてまた局部的に、新しい城国が建ち、文化がめられて来た。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
足立さんはそれから静かに理を分けてまるで三歳児に言い聞かすように談すと野郎もさすがに理に落ちたのか、私の権幕にじたのか
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
煙草を銜え、飛行服のバンドをめ直し乍ら、池内操縦士が、折から発動機の点検をえて事務所に帰って来た、三枝機関士に訊ねた。
旅客機事件 (新字新仮名) / 大庭武年(著)
それより、何より不愉快なのは、坑夫の半数を占める十二、三から十五歳位の惨めな少年坑夫達までが彼をじ恐れていることだった。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
そして、年子が、先生をたずねて、東京からきたということをおききなさると、にお言葉調子りをびたようだったが
青い星の国へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
たしかにそうも思いはしたが、それよりも、急に、わたしの胸をいてきたものがある。廿五年の歳月は、こんなにもみんなをわしたかと——
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
また二階には家々道具類が、あるひはあるひは木器あるひは陶器といふように種類をわけてられるようにしてあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
一月二十九日に保は十九歳で師範学校の業をえ、二月六日に文部省の命を受けて浜松県に赴くこととなり、母を奉じて東京を発した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「ほんに、そうっしゃれば秋らしい晩でございますこと。けれどわたくし、こう云う晩は淋しゅうて滅入るような気がいたします」
今眺めている高い軍服姿、胸には白く十字を現したダネブログ勲章のコマンドル章をびられたところもさっきのままであるし
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
昨日千葉びまして、奧樣四五すぐれ見上げられる、うぞしてかと如何にも心配らしくますので
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
不思議な現象にわぬ前ならとにかく、うたにも、そんな事があるものかと冷淡に看過するのは、看過するものの方が馬鹿だ。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お豆腐ばかり喰べさせます。それよりも尚おいけない事があります。即ち私は、一日きに罰則になります。それで何も悪い事はしないのです。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
阿蘇活動一般火山灰ばし、これが酸性びてゐるので、農作物し、これをする牛馬をもめることがある。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
私をじつと凝視めて、彼は口をんだ。言葉は殆んど現はれかけて彼の唇の上でへた——しかし、彼の聲はしつけられてしまつた。
しかしそこから南の方へまわって、紀伊国水門までおいでになりますと、お傷のみがいよいよ激しくなりました。命は
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
庄「旦那妙なもので、これは本当に真の友達で、銭が無けりゃア貸してろう、らが持合せが有れば貸そうという中で有りますと」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そうれまんだべ焼けるか。こう可愛がられても肝べ焼けるか。可愛獣物ぞいは。見ずに。になら汝に絹の衣装べ着せてこすぞ。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
く行き給へと口には言へど、つれなき涙はに餘りて、の上にち來りぬ。われ。そは餘りに情なし。われはおん身の今不幸なるを知りぬ。
太上老君八卦炉中に焼殺されかかったときも、銀角大王の泰山圧頂の法にうて、泰山・須弥山峨眉山の三山の下にされそうになったときも
けど、ほんまの僕の気持いうたら、憎いのんあの男だけで、お前も光子さんも可哀そうな目エにうたんや思てるねん。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
現に此方の広海さんでは懇意な牛乳屋に特約なすって飲料にする牛乳はろし相場即ち一升二十五銭でお買入れになりますし
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
影と知らずにと見たかと見たか、あるいは水の玻璃層は、人間には延板のように見えても、蝶には何でもないのか、虚空の童女は、つと水底の自分を捉えようとして
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
手を盡して調べ拔いて、萬に一つの手拔りの無いところまで運んで置いたとは知るまい、——ちたのはこの平次ではなくて、お前だつた
夕方からち出した雪が暖地にはらしくしんしんと降って、もう宵の口では無い今もまだにはなりながらはらはらと降っている。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
占者はを占ってこの児長じて世界を一統するであろうと。しかし我国には万世一系の天皇がわす。よって予は先に朝鮮を戡定し、支那また和を請い、王女をわが皇室に献ぜんと約した。
ところで下枝の方は、れが女房にして、公債や鉄道株、ありたけの財産を、れが名に書き替えてト大分旨い仕事だな。しかし、下枝めがまた悪く強情で始末におえねえ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
老女の変態愛は自分も相当に疲れて居ながら新吉を最後のがらのように性の脱けたものにするまで疲れさせねば承知出来なくなって居た。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
二つのものが純一無雑の清浄界にぴたりとうたとき——以太利亜の空はから明けて、以太利亜の日は自から出る。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
宗近君は突然椅子を立って、机のまで来ると片肘を上に突いて、甲野さんの顔をいかぶすようにみながら
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
れども井伊大老に彼を死地かんとす、それた何の益有らん。彼はここにおいて死せざるべからざるを知り、死を待てり、死に安んぜり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
彼女は、彼女のながい人生に必要のない余計なものはみんな、しげも無くすてて了って、今では血の色まで透きとおっていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「やっぱし炭山と変らないで、死ぬ思いばしないと、きられないなんてな。——瓦斯ッかねど、波もおっかねしな」
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
深山に連絡している周囲が、女のことについて、いろいろに自分を批評し合っているその声が始終耳にさっているようで、暗い影が頭にわりついていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その声近くなる時猟夫虎の子一つを落す。母これをえて巣にり帰りその子をきてまた猟夫を追う。また子一つを落すを拾い巣に伴い帰りてまた拾いに奔る。
「欣しや、やっとうたぞやい。これも、つい先のころ、住吉の浦で不慮の死を遂げなされた叔父の霊のひきあわせでがなあろう」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女はだんだんれたような声になりながらそれをえると、一種の微笑ともつかないようなもので口元を歪めながら、私をじっと見つめた。
風立ちぬ (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
もう、馴れ切ったはずのこの考えが、石のように重く心の上にちかかり、ひどい力で胸のあたりを締めつけた。
墓地展望亭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「元服するのじゃ。——十六、あやうく髪をろされるところであったが、その髪を男立ちに揚げ、初冠ないただこうと思う」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの聲は旦那であると思ふ間もなく、反齒の突き出た唇を尖がらして、小皺の多い旦那の顏は、頭の上からさるやうにして、お光の眞上に現はれた。
兵隊の宿 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ノッケから読者を旋風に巻込むような奇想天来に有繋の翁も磁石に吸寄せられる鉄のように喰入って巻をく事が出来ず、とうとう徹宵してに読終ってしまった。
露伴の出世咄 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「うち、裾いて舞うたことないよってに、よう舞うかどうか心配やねん。ちょっと彼方で裾のさばき方せて貰うて来るわな」
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
素人でも今の通りなアイスクリームをモット早くモット上等に拵えようともえば毛布を蒙せないで茶筒の頭を片手ででも両手ででもグルグルと根気よく廻転すのです。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
このさいにおける論の当否はく、平生茅堂が画におけるを観るに観察の粗なる嗜好の単純なる到底一般素人の域を脱する能はざるが如し。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
天気が変ったのかんもりした空気が酒のあるにそそりと触れて暖かった。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
願わくは大王臣がを信じ、上表謝罪し、甲をき兵を休めたまわば、朝廷も必ず寛宥あり、天人共にびて、太祖在天の霊も安んじたまわん。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
える身を拭いて、範宴は白い浄衣を肌に着、少僧都の法衣を上にった。そして、六角堂のしながらはっと思った。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さつせえ、じやうな出来だが、の、お前様れるといたで、ちたよ、……私等は、いでも、てたればきた
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
世間の交際を重んずるの名を以て、附合の機に乗ずれば一擲千金もまたしまず。官用にもせよ商用にもせよ、すべて戸外公共の事に忙しくして家内を顧みるにあらず。
教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
オースチンリードで出来合いをすこし直さしたモーニングの突立った肩が黄いろい金鎖草の花房にじた挨拶をしながら庭の門を入る。東洋風の鞣革の皮膚、鞣革の手の皮膚。
百喩経 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
深夜ちたのを見て、思い着いて、我が同類の万太と謀って、渠をして調えしめた毒薬を、我が手に薬の瓶に投じて、直ちに君の家厳に迫った。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
岸をトンとすと、屋形船は軽く出た。おや、房州で生れたかと思ふほど、玉野は思つたよりさす。大池である。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
この童は聖母の愛でさせ給ふものなれば、それに戸をば開かせ給ひしなり。おん身はまだ此童を識り給はず。物讀むことにはけたれば、書きたるをも、したるをも、え讀まずといふことなし。
花をかぬ枝もなく、家に居る人も、晴衣して花の下行く子も、おしなべて老も若きも、花の香に醉ひ、醉心地おぼえぬは無いといふ、が下の樂しい月と相場がつて居るのに
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『女はしとやかでなくてはいけない、をとなしくなくてはいけない』と云ふしへは甚だ結構な事です。
内気な娘とお転婆娘 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
わが足下に転がりたる西瓜の皮をいくたびか見返りつつ行過ぎし、とあるぐらき路次の奥より、紙屑籠背負いたる十二、三の小僧が鷹のようなる眼を光らせてでぬ
銀座の朝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「東夷南蛮北狄西戎西夷八荒天地乾坤のその間にあるべき人の知らざらんや、三千余里も遠からぬ、物にじざる荒若衆……」
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それにて思ひ合すれば、さきに藪陰にて他に逢ひし時、く物にぢたる様子なりしが、これも黄金ぬしに追はれし故なるべし。さりとは露ほども心付かざりしこそ、返す返すも不覚なれ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
「何しろ四日間ずっと天気がよかったんだからなあ。春の方がずっと日に焼けるよ。一つには油断して日に顔をすせいもあるし、徐々と焦げて来るんですぐちないせいもある」
競漕 (新字新仮名) / 久米正雄(著)
しかるに、走り行く此方の車内では、税務署か小林区署の小役人らしき気障男、洪水に悩める女の有様などを面白そうに眺めつつ、隣席の連れとぼしき薄髭の痩男に向い
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
一つは多少慈愛に引かれた結果もあツたが、に其のを探ツたら、周三をツて了ツては血統斷絶の打撃となるから、出來ぬ我慢をして周三の意志尊重することにした。子爵はめたのだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
後はこの侘住居に、拓と雪との二人のみ。拓は見るがごとく目を煩って、何をする便もないので、うら若い身で病人を達引いて、兄の留守を支えている。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けだものの子は生れながらにものをしりたればうらがなしかり
小熊秀雄全集-01:短歌集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
足を蹈み、う声が、耳もとまで近づいて来ていた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
商「エーイ主人がね此方えようとすう、て此方けようとする時にがりまして、主人の頭との頭とかりました処が、石頭かった事、アハアてえや」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
富の勢力は槍先功名までもかせり。功名の記念たる、封建武士の世禄も、その末世においては、一種の様式となり、売買せらるるに到れり、今日における鉄道株券同様に。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
この神聖なる疾にかされる時、あるいはその少し前に、ドストイェフスキーは普通の人が大音楽を聞いて始めてり得るような一種微妙の快感に支配されたそうである。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いつでも焼酒ばいっぱい引っかけた時とんなじように、楽しか気もちでれますがな。人間は悲しかことや、かことばかりじゃが、神さまになれば楽しかことばかりですがな
南方郵信 (新字新仮名) / 中村地平(著)
も、学問を独立せしむるの要術、甚だうし。然れども、今日の事たる、めて学者をして講学の便宜を得せしめ、勉めてその講学の障碍くより切なるはなし(謹聴、拍手)。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
へたやうな顏をして入つて來るのを認めるであらう!……
嘘をつく日 (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
さうして強ひてち着けた声音
父の死 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
とも二歳でく交われど、二歳以上で交わる方強い駒を産む、牡は三十三歳まで生殖力あり、かつて四十まで種馬役を勤めた馬あったが、老いては人に助けられて前体を起した。
曰く、『昼もまた知らざるところありや』と。先生曰く、『よく昼の懵々としてき、蠢々として食するを知るのみ。行いて著しからず、習いてかならず、終日昏々として、ただこれ夢の昼なり。 ...
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
勇士が虎に勝った史話は多く『淵鑑類函』や『佩文韻府』にべある。例せば『列士伝』に秦王朱亥を虎の中にいた時亥目をらし虎を視るに裂け血出ぐ、虎ついにあえて動かず。
かつら んでもないこと、天下一でも職人は職人じゃ、殿上人や弓取りとは一つになるまい。
修禅寺物語 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
初め渋木生、して江邸にり、余の西遊に必らず故あらんとい、脱走して邸を出で余をわんと欲す。余の江戸に帰るに及んで、りて余の寓居に投ず。生人となり孱々たる小丈夫のみ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「わしらの国が附いている、武器でも食糧でも金でもドンドンくる、頑強に抗日をつづけなさいよ」
今昔茶話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「甚助。どうかしたのか。この頃は、樹の梢へかかって、見事に枝をろす姿も、ちっとも見かけないが」
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
、長柄でろして来やれ。長柄も背丈も届かぬ梢も、心して跳んでって見やい。それしきもの斬れねば、殿様の御馬前に立って、で人勝りの働きはならぬぞい
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「へい、出てめえりました。のお手紙にゃ、江戸へのぼる事アなんねえという御異見でしたが」
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
「青梨村の彦太でがす。、信州の彦太でがすよ。開けてくんなさい。今晩はっ」
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
る、宮は行き行きて生茂る柳の暗きに分入りたる、入水の覚悟にれりと、貫一は必死の声をりてに呼べば、咳入り咳入り数口咯血斑爛として地にちたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
取附く島もあらず思悩める宮をきて、貫一は早くも独り座を起たんとす。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かしき海岸景色のやうにおろした海岸れる水兵等吾等めたとぼしく、屏風岩から、大佐から、に/\り、手巾振廻しつゝ
から二分三分までは閃々空中んでつた難破信號火光何時にかせて、其處には海面より白色球燈き、右舷左舷ぼしき緑燈
けれども「プ」の字を書かずに「ブ」の字を書いてある。斯う云ふ意味に假名遣の發音と相違する點を、もに語原的と外國では申して居るやうであります。
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
もに違ふと云ふことの論據になつて居りまするのは外國の Orthographie は廣く人民の用ゐるものである、我邦の假名遣は少數者の用ゐるものであると云ふことであります。
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
峰の松原も、空様に枝を掻き上げられた様になって、悲鳴を続けた。谷からに生えって居る萱原は、一様に上へ上へとり昇るように、葉裏を返してき上げられた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
其で思い合せられるのは、此頃ちょくちょく、からの間に、里から見えるこのあたりのに、光り物がしたり、時ならぬ一時颪の凄いりが、聞えたりする。今までついに聞かぬこと。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
「さ、お前にも五十銭いてくよ。もっとじつはりてえんだが、今言うとおり商売がねえんだから、これで勘弁してくんな。」
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
そのうちに亭主がいて行った銭もなくなりかけるし、女房は弱りきっていた。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
哀公問いて曰く、何為ば則ち服せん。孔子えて曰く、きを挙げて、これをれる(人の上)にけば、則ち民服せん。(為政、一九)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
えて曰く、政は臣を選ぶにあり。季康子政を問う。きを挙げてこれをれる(人の上)にけば、すなわち枉れる者からん。康子盗をう。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
かくて翌日まさに福井に向かいて発足すべき三日目の夜の興行をわりたりしは、一時にんとするころなりき。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
渠はこの夜の演芸をわりしのち、連日の疲労一時に発して、楽屋の涼しき所に交睫みたりき。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
笠置ろしが、頭の中をも吹きぬけて行くような心地であった。脳膜が蚊帳のようにすずしい。そしておそろしく眼がよく見える。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まっ暗な風が時折り、笠置のいただきからちてくる。そして、容易にうごかないそこの白刃ぐように吹いて、ビラ、ビラ、とのようにぎを闇の中に見せる。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
戦ニて命をとし候者の数ハ、前後八十名ニて、蔵ハ八九度も戦場に弾丸矢石ををかし候得ども、手きずこれなく此ころ蔵がじまん致し候ニハ、戦にのぞみ敵合三四十間ニなり
かつら んでもないこと、天下一でも職人は職人ぢや、殿上人や弓取とは一つになるまい。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
厚きの積れる雪と真白き上に、乱畳める幾重を争ひつつ、なる姿をかずはれるを、窓の日のして隠々照したる
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
で、その中から死体を出しますと、もはやかちかちになって全く木で拵えたもののようになって居り、腹などもすっかり引っ込み眼もちてしまって水気は少しもありません。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
背皮に黄金の文字をした洋綴書籍が、ぎしりと並んで、としてき光を放つ。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
私は義兄に見舞を云おうと思って隣室へ行くと、壁のち、柱の歪んだ部屋の片隅に小さな蚊帳がられて、そこに彼は寝ていた。
廃墟から (新字新仮名) / 原民喜(著)
ともかく、伝来の味がぐっとちてお江戸名物が一つ減ったとは、山葵醤油で首を捻り家仲間での一般の評判であった。
りだ。」居合せた男達は口々に叫んで、昇降機に向おうとする刹那、倏忽戸外に凄じい騒ぎが起った。それは年若い婦人が五階の窓から敷石の上へ墜落ちて惨死したという報知であった。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
「ほうお、爺様もったのがね。俺もこれ、このっき孫、嫁にやってがら、こうして床に就いたきりで……」
蜜柑 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
ごらんの通りな山家のこと、何もおかまいはできませぬが、雪の夜の馳走には、から富者貴顕にいたるまで、火にる馳走はないかとぞんじまして、このように
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
岩下或は渓間に一小屋を構臼を長柄杵(大坂踏杵也)を設け、人のふむべき処にをなして屋外に出す。泉落て凹処降る故、水こぼる。こぼれて空しければ杵頭降りて米穀ける也。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「またその身にまた檜榲い」というのは熔岩流の表面の峨々たる起伏の形容とも見られなくはない。「その長さ谿八谷八尾をわたりて」
神話と地球物理学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
パチ——と一いて、かまきりが、横を向き
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
駅路のさざめきもびておもしろく、うさるさの旅人すがた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「馬の大きさはけしからず候。男もけしからず大きく候。上方衆(日本軍のこと)もけしからずじ入り候也」
碧蹄館の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
のやわらかな春暁だが延福寺の屋根の下はまだ夜半の気配だった。のような長い廊下を途中で曲がって小さい灯が一ツ風にじながらおどおど奥へすすんで行く。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
は悪で判然と明暸に意識された事でありますから、勢い悪の方すなわちな事、なもの、は避けるようになるか、もしくはこれを叙述するにしても嫌いなように写します。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「畜生奴! すっかりぢて了やがつた。」
眠い一日 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
男は漸く我にりて、ける目を
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
或拗枝妄抛 或はりてりに
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
のごとく地球の表面を快奔雄走し、しかしてかの生産境遇の必要は人民を駆り、社会を駆り、いかなる人類をもいかなる国体をもことごとくこれを平民的の世界にさんとす。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
南無三、逃げてくれ、逃げおせてくれと、彼は祈った。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
欣々女史も鏡花会にはいって、仲間入りの記念にと、帯地とおなじにらせた裂地でネクタイを造られた贈りものがあったのを、幹事の一人が嬉しがって
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「しツ! かつしやい。馬鹿言ふぢやない。お前がたの今言つてたやうな事が、あの若旦那の耳へ入りでもしたら、」と、その隣に並んで同じ労働に従事してゐた三番目の男が
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
倫理の矢につてちる倫理の小禽。風景の上に忍耐されるそのフラット・スピン!
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)
と、れてきたにバサバサとめて、ひつかうとするけれど、ラランのやつはさつさとびながら、いたもので
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
(ようゆう)ですね、老婆は、今度は竹箆を口にえて、片手で瓶のえ、片手で「封」という紙きれを、蓋の合せ目へしながら、ニヤリとしている。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
地に穴し瀦水してこれを蓄え、いまだ日をえざるにその地横にえ水勢洶々たり、民懼れ鉄を以てこれに投じはじめてむ、今周廻ばかりなるべし、水清澈にして涸れず〉とあれば
わが方丈の一室もようやく工をえ、この日はじめて諸友をここに会した。……十九日はもとより我々の忘るることあたわざる日である。今またこの日をもってこの会をなす。
左千夫先生への追憶 (新字新仮名) / 石原純(著)
それより七年以前の天宝八年に、范陽進士呉青秀という十七八歳の青年が、玄宗皇帝の命を奉じ、彩管うての国にり、嘉陵江水を写し、転じて巫山巫峡を越え
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
清三の家では、その日父親が古河に行ってまだ帰って来なかったので、母親は一人でさびしそうに入り口にうずくまって、がらを集めて形ばかりの迎え火をした。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
そしてその矢は、関羽のを、ぷつんと、見事に射止めていた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
は、このさなをいじめるのではありません。く、く、くならなければ、どうしてこの曠野でこのちましょう。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
れば、馬琴の八房は玉梓の後身たること、仏説につて因果の理を示すものなること明瞭なり、して、この八房をして伏姫をひ去るに至らしめたる原因は何ぞと問ふに、事成る時は
戸塚はびえたように足の下の火の海を見た。中野学士がそう云う戸塚の顔を振返って冷然と笑った。白い歯並がに光った。
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
れ多いご比較ではあるが、吉野の御陵には、雑草が離々いて、ここの何分の一の御築石もない——れもくそもあるものか、俺は、斬る
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これあ道理じゃと思って、菊ばかりじゃない、胚子ろすもの刈るもの、すっかり落葉もいて置こうと思いますのじゃ
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
世をうとても大ならず
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
仲達軍の先鋒に大将としてされた者は、河南の張郃、あざなは雋義、これは仲達から特に帝へ直奏して
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おほよそ文にて知らるゝことは、その外にもいと多し。されど讀みおぼゆる初は、あまり樂しきものにはあらず。は終日に坐して、文を手よりかじと心掛くべし。
名利の外に身をけば、から嫉妬の念も起らず、憎惡の情もさず、山も川も木も草も、愛らしき垂髫も、き老婆も、我れに惠む者も、我れを賤しむ者も、我れには等しく可愛らしく覺えぬ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「岩の上に彼の僧侶の仮装を残してな」とブラウンはぎなった。
「さなくば、婚儀の当夜、大挙してしかけ、彼の破戒行為を責める」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのわらざるに、車は凸凹路を踏みて、がたくりんときぬ。老夫は横様に薙仆されて、半ば禿げたる法然頭はどっさりと美人の膝にせり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、かしい事には、誰一人として、主役を買って出た、彼の演技に触れるものはなかったのである。所が、次の話題に持ち出されたのは、いまの幕に、法水が不思議な台詞を口にした事であった。
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
白川をここまでびきよせておいて、ついと引つ離してしまつては彼の立場は全然失はれるであらう。
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
慶応三年に辻花雪三回忌の影画合「くまなきかげ」が刊行せられて、香以は自らこれに序した。巻中の香以の影画にはに引いた「針持つて」の句の短冊がしてある。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
当時近代音楽の勃興時代で、真物偽物も、ひたむきに新奇をうてやまなかった時、ブラームスは雄大、厳重、素朴、敬虔な古典精神に
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
つなぎ烽火というのは、一里き二里距きに備えてあるのろし筒が、次々と轟煙を移して甲府の本城へと
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そ生あれば必らず死あり。死は必らず、生をうて来る。
膝にきたる骨太の掌指は枯れたる松枝ごとき岩畳作りにありながら、一本ごとに其さへも戦〻顫へて一心に唯上人の一言を一期の大事と待つ笑止さ。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
水草をうて自在に移るという時代には、それが南下して支那とたびたび衝突する。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
では、もし、挙国一致、婦人が髪を切って弓弦として、国難に赴く如き態勢を、時期にくれずに採用したならば、せいぜい擡頭期に於けるローマ如きにああもミジメに亡ぼされなかったであろう。
世界の裏 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
さらにそれを貫いて進むと、ついに漠然たる生活に充ちた、波瀾重畳のちかたに没してしまう。しかししばらくたつと、眼尻からある一瞥が、広間の中へさっと戻って来る。
神童 (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
天文五年十一月、武田信虎八千を率い信濃海口城を襲ったが城の大将平賀源心よく防いで容易に陥落ちない。十二月となって大雪降り、駈け引きほとんど困難となった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
女将も評判のキンキン声であったが、きょうは何となくびえている様子……。
冗談に殺す (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ほうほうと切れてしまう藕糸を、八・十二二十合に縒って、根気よく、細い綱の様にする。其をごけにぎためて行く。奈良の御館でも、は飼って居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
りやはせんのせえいつだからげやつてせえ其麽ことへやがんだんべなんて、放心してたもんだからにやあねえで、れかうえに怪我しつちやつたな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)