)” の例文
されば心を収むるは霊地に身をくより好きは無く、縁を遮るは浄業じやうごふに思を傾くるを最も勝れたりとなす。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
その声近くなる時猟夫虎の子一つを落す。母これをくわえて巣にはしり帰りその子をきてまた猟夫を追う。また子一つを落すを拾い巣に伴い帰りてまた拾いに奔る。
世には既に死したる人のわれ等の間に迷ひ來て相交ることありとおもへるものあり。われは今これに反して、獨り泉下に入りて身を古の羅馬人の精靈の間にきたりとおもひぬ。
山陽は本郷の医者の家から、転じて湯島の商人の家に往つて、又同一の雰囲気中に身をいたことであらう。棭斎は当時の称賢次郎であつた。年は二十三歳で、山陽には五つの兄であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
もし旅行を仕て真実に自然に接したり野趣の中に身をいたり、幾分かにしろ修業的に得益しようと思ったなら、普通の旅行をしても左程面白い事は有りますまい。
旅行の今昔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
北尾辰宣の筆ならんてふ異体の百人一首に、十種の男を品隲ひんしつして白を第六等にき、リチャード・バートンはアラビア人が小唇の黒きを貴ぶ由をいった(一八九四年版『千一夜譚』注)。
優しく人をめぐみがほなる天使、再會して相悦べる靈ども、金笛きんてきの響に母の懷に俯したる穉子をさなごなど、いづれ自然ならざるなく、看るものは覺えず身を圖中にきて、審判のことばに耳を傾く。
凝る氣を以て事に從ふは、譬へば氷を以て物と共にくが如しで、其の物能く幾干か變ぜんである。張る氣を以て事に從ふは、流水を以て物をひたすが如しで、物漸くに長大生育する。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
オーン子を独り冥界にくに忍びず、自分も往かんとて告別に一切の人水牛および諸樹をぶに、皆来れどもアルサンクタンてふ人の一族とアルサイイルてふ水牛の一族と若干種の樹は来らず。