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「無礼すな。これにわすは、御台所の政子の方様である。伊豆の秋戸の里よりお渡りあって、今この鎌倉へお着きなされたところだ」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
占者はこれを占ってこの児長じて世界を一統するであろうと。しかし我国には万世一系の天皇がわす。よって予は先に朝鮮を戡定し、支那また和を請い、王女をわが皇室に献ぜんと約した。
現世うつしよは めでたきみ代ぞ たひらけく 微笑ゑみはせな 百済くだらみほとけ
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
生きてわした。——ご無事で。と玉日もそう思い、生信房もそう思うほど、奇蹟の心地がするのであったが、やがて、草庵の一室へ通った善信は
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まことの主上のわすをすら、いつか思わぬようになり、民の帰一というものが、総じて、はぐれているような。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「範宴どのは、黒谷の吉水よしみず禅房にわす法然ほうねん上人にお会いになったことがありますか」言下に範宴は答えた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
室町将軍に御政治の力がないから、野武士などといって、生きてもゆかれるが、その将軍家も、はやあのままにわされまい。天下は一変する。次の時勢がくる。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鹿ししたに俊寛僧都しゅんかんそうずいおり衆会しゅうえのお催しあることと存じまするが、院の御深みふかくにわしてすら、道聴途説どうちょうとせつ、とかく、世上のうるさい折から、さような集まりの席へ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今川家は当代の名族でわするぞ。足利将軍の統、もしお世継よつぎのなき時は、三河の吉良きら氏が継ぎ、吉良氏に人のなき時は、御当家今川家から立つことになっておる。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この秋、いかにわすか。足の冷えや、持病が出てはこぬだろうか。ご不自由はどうあろうか。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
徳川家の新将軍を狙撃し、そのさわぎに乗じて、大御所のわす駿府にも火を放ち、一挙にこの関東を混乱におとれて、事をそうという浅慮者あさはかもののお前は手先のひとりではないか。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「敵国なれど、近くまで出陣して参ったものを、お眼にもかからず、矢弾やだまを師のわすさとへ射ち込むのは、師弟の情、忍び難いここちがいたすので、これから御挨拶をしに行こうと存ずる」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
またこの刑部には、秀頼公は心底にわすが、徳川内府などに、追従ついしょうは持たぬ。——ただ、秀頼公おすこやかに、一日もはやく、御成人あれと祈るのみじゃ。その間は、世もやすかれと祈るのみじゃ。
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「東軍の御大将、あれに流れついてわすぞ、つつんで、生擒いけどれや」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「武蔵どのでわすか。長々お待たせして、無礼おゆるしを」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「駿河殿に見参ッ。御大将義元には、いずれにわすや」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)