)” の例文
朱は車をうながして往ってしまったが、すこし往って振りかえり、びていた刀を解いて人に持たしてよこし、遥かに緯に向って
陸判 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
今眺めているたけ高い軍服姿、胸には白く十字を現したダネブログ勲章のコマンドル章をびられたところもさっきのままであるし
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
銀色の十字架を胸にびてゾロゾロと乗込んで来たので、居住居いずまいを崩していた羽織袴連中は、今更のように眼をそばだてて坐り直した。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
十八史略までは素読そどくを授かった覚えのある七兵衛は、「我をして洛陽負郭二頃らくようふかくにきょうでんあらしめば、いずくんぞよく六国の相印しょういんびんや」
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二人の衣裳持物はすべて香以のおくりもので文左衛門の銀装ぎんごしらえの脇差は香以の常にびた物である。この狂言の作者は香以の取巻の一人河竹新七であった。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
また我藩では世子の小姓の菅沼忠三郎というが内命をびて九州方面へ使者に行ったのを、馬関海峡で長州巡邏船で捕えた。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
彎刀カトラスび、例の海図をポケットに入れ、銃を肩にかけて、北側の防柵を乗り越え、さっさと樹立の中へ入って行った。
北斉赦あるごとに金鶏を閭門に立てる事三日でやむ。万人競うて金鶏柱下の土を少しく取りぶれば、日々利ありというに数日間ついに坑を成した。
その男の顔色はまったく銅色あかがねいろをしておりまして、身には高価な外国の衣服をつけ、帯には短剣をびているのが、老婆のバルバラの提灯で見えました。
「卿等、碌々人に拠って事をなすの徒。燕雀えんじゃくいずくんぞ、大鵬の志を知らんや、か——吾に、洛陽負廓田ふかくでんけい有らしめば、あによく六国の相印をびんや、か」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「ははあ、幾ら俺が手下を廻すとって、まさかそれほどの事では交番へも引張ひっぱり出せないで、一名制服を着けて、洋刀サアベルびた奴を従えて店前みせさきわめき込んだ。」
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此日、篠原国幹は、外套の上に銀かざりの太刀をび、自ら刀を揮って指揮したのだが、官軍の江田少佐がその顔を知って居って、狙撃させて斃したのであった。
田原坂合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
瑠璃るり色なる不二の翅脈しみやくなだらかに、じよの如き積雪をはだへの衣にけて、悠々いう/\と天空にぶるを仰ぐに、絶高にして一朶いちだ芙蓉ふよう、人間の光学的分析を許さゞる天色を
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
びた武器をひきよせて立ちあがらなければならぬ——そういう何秒かのしずかさであった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
また、吉野のクズどもがオホサザキの命のびておいでになるお刀を見て歌いました歌は
勲章をびた欧洲の役人達——これ等は私にとっては皆目新しく、そして興味があった。
大人しい青年で、親にも告げずに身にびては悪かろうと、豎牛を通じて病父にその名誉の事情を告げ玉環を見せようとした。牛は玉環を受取って内に入ったが、叔孫には示さない。
牛人 (新字新仮名) / 中島敦(著)
しかして彼の平易なる独逸語を以て著述せしその註解書を読まん、「今よりのちたれも我をわずらわすなかれ、はわれ身にイエスの印記しるしびたればなり」(六章十七節)、ああ何たる快ぞ
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
乾鮭からさけの大きな奴を太刀たちの如くに腰にび、裸同様のあさましい姿で、せた牝牛めうしの上にのりまたがり、えらそうな顔をして先駆の列に立って、都大路の諸人環視の中を堂々と打たせたから、群衆は呆れ
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
月が有るからすかして見るとおどろいた、白糸縅しらいとおどしよろい鍬形打くわがたうちたるかぶといただき、大太刀をび手に十文字のやりげ容貌堂々威風凜々いふうりんりんたる武者である、某はあまり意外なものに出会い呆然ぼうぜんとして見詰みつめているうち
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
そこでその嫩葉わかばを揉みて髪の中にしのばせ、あるいは油に和して婦人の頭に伝え、あるいは体にび、また湯に入れてこれに浴したものだ。ゆえに、一にこれを香草と称え、香水蘭と呼んだのである。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
いっ腕力付うでづくで奪い取ろうかとも考えたが、剣をびたる多数の警官と闘うことは、彼も流石さすがはばかった。この場合、味方と頼むのは多年同棲したる𤢖であるが、彼等もその以来何処どこへ隠れたか姿を見せぬ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
燕尾服に白襟を附けて、じゆびてゐる。
薔薇 (新字旧仮名) / グスターフ・ウィード(著)
黄金こがねいんをあまた
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
腰にびたるたま鳴りて
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
三人の中にはず怯ずと兵員たちの腰にびた剣に触ってみるものもあれば、不思議そうに靴に眼を留めて、凝乎じっと眺めている者もある。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
当時の新聞雑誌で見れば、ヴェネチアの街が駿河台の屋鋪町やしきまちで、オセロは日清戦争時代の将官の肋骨服ろっこつふくに、三等勲章をびて登場したということである。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
内に三尺ばかりの古猴一刀をびて登り、不浄参詣は必ずその刀を振って追う、人これを怪しむと出づ。
後に間もなく、信綱知って之を賞し、水野勝成は自らぶる宇多国房の刀を取って与えたと云う。
島原の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
背後うしろからながめて意気いきあがつて、うでこまぬいて、虚空こくうにらんだ。こしには、暗夜あんやつて、たゞちに木像もくざう美女たをやめとすべき、一口ひとふり宝刀ほうたうびたるごとく、威力ゐりよくあしんで、むねらした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すなはちみその中によろひし、弓矢をばして、馬に乘りて出で行きて、忽の間に馬より往きならびて、矢を拔きて、その忍齒の王を射落して、またそのみみを切りて、馬ぶねに入れて
シルヴァーは、腰に大きな彎刀カトラスび、四角い裾の上衣の一つ一つのポケットにピストルを一挺ずつ入れている他に、他に二挺の鉄砲を——一挺は前に一挺は後に——吊り下げていた。
公は顫える手で身にびた美玉をとり外して、己氏の前に差出した。
盈虚 (新字新仮名) / 中島敦(著)
十二の金印きんいんびて
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
わたくしは此最後の丹後、眞志屋の鑑札をびて維新前まで水戸邸の門を潜つた最後の丹後をまのあたり見て、これを緘默かんもくに附するに忍びぬからである。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
金の拍車の付いた短靴を召されて、銀色の勲章飾りというのは、びていられたレレファン・ブラン大綬章の略綬を指すのであろう。そのとおりであった。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
欧州にもこれに劣らぬえらい話があってアルペルッス・マグヌスの秘訣に人もし兎の四足と黒鳥マールの首をあわぶればたちまち向う見ず無双となって死をだもおそれず
それでお召物の中によろいをおつけになり、弓矢をおびになつて、馬に乘つておいでになつて、たちまちの間に馬上でお竝びになつて、矢を拔いてそのオシハの王を射殺して、またその身を切つて
これは腰下を皮で蓋い玉を護符または装飾として腰間にびた無下むげの蛮民を、猴様の獣と誤ったのだ。
美しくゆひ上げたるこがね色の髪と、まばゆきまで白きえりとをあらわして、車の扉開きしつるぎびたる殿守とのもりをかへりみもせで入りし跡にて、その乗りたりし車はまだ動かず
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
東海の黄公少時げんを能くし蛇や虎を制するに赤金刀をぶ、衰老の後飲酒度を過ぐ、白虎が東海にあらわれたので例の赤刀を持ちまじないに行きしも術行われず虎に食われた
を善くして、「外浜画巻そとがはまがかん」及「善知鳥うとう画軸」がある。剣術は群を抜いていた。壮年の頃村正むらまさ作のとうびて、本所割下水わりげすいから大川端おおかわばたあたりまでの間を彷徨ほうこうして辻斬つじぎりをした。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
『大英百科全書』に、英仏その他で政党や軍士が古く形色各別のコッケイドをびた事、並びに欧州諸邦の王家それぞれコッケイドの色を異にした例を多く挙げいる。
徳山と門司もじとの間を交通している蒸汽船から上がったのが午前三時である。地方の軍隊は送迎がなかなか手厚いことを知っていたから、石田はその頃の通常礼装というのをして、勲章をびていた。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
カンポステラに詣で、これを拝する者は、皆杓子貝しゃくしがいぶ。その事日本の巡礼が杓子貝を帯ぶるに合うとは、多賀や宮島に詣る者、杓子を求め帰るを誤聞したものか。
吉丁虫を支那、玉虫やおしどり思羽おもいばを日本の婦女が身にびたり、鏡奩かがみばこに入れたりするも、上に述べた諸動植物も媚薬で、甚だしきは劇性人を殺す事ヒッポマネスごときもある。
悪を避けは西洋でいう邪視を避くる事でこれが一番確説らしい。アラビア人など駿馬が悪鬼や人の羨み見る眼毒にあてらるるを恐るる事甚だしく、種々の物をびしめてこれを避く。
故に邪視を惧るる者、ことさらに悪衣を着、顔をよごあざを作りなどして、なるべく人に注視されぬようにし、あるいは男女の陰像をびて、まず前方の眼力をその方に注ぎ弱らしむ。
これを家に置けば火災に遇わず、口に含めば渇かず、身にぶればきずを受けず。