“幻”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
まぼろし89.9%
まぼろ2.9%
げん2.9%
あらわ0.7%
うつゝ0.7%
おぼ0.7%
おぼろ0.7%
イマアジュ0.7%
ヴイジオン0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
とにかく彼はえたいの知れないまぼろしの中を彷徨ほうこうしたのちやっと正気しょうきを恢復した時には××胡同ことうの社宅にえた寝棺ねがんの中に横たわっていた。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
または自分の想像した通りまぼろしに似た糸のようなものが、二人にも見えない縁となって、彼らを冥々めいめいのうちにつなぎ合せているものか。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
同月どうげつ二十三にちにはげんぼうほか玄川子げんせんしくはへて四にんつた。今度こんどは、小徑こみち左方さはう緩斜面くわんしやめん芋畑いもばたけである。
僕は腕時計にあらわれる、午後十時半の指針をみて立上る。
何んだか生温なまぬるい湯にでも入ツてゐるやうな心地こゝち……、うつゝから幻へと幻がはてしなく續いて、種々さま/\な影が眼前を過ぎる、……ると、自分は
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
西島藤夫君『春の川』この画おぼろげながら筆者のその企てを感ずることが出来るが佐藤君程強調された個性が息づいてゐない。
基督キリスト其の他の先覚の人格を信じ、若しくは彼等が偉大なる意識を証権として、其れに依りうておぼろげに形づくりたる者、その多きに居りし也。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
第三の場合は、シャンゼリゼエで少女たちと遊び疲れて、自分の家への歸り途、四目垣のあるちんの黴くさいやうな臭ひを嗅ぐと、突然、いままで潛伏してゐたイマアジュが浮び上るのだ。
続プルウスト雑記 (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
やつと彼は加減かげんした愼重さを以て振り向いた。私にはまるで一人のヴイジオンが彼の傍に立つてゐるやうに思はれた。彼から三歩のところに純白のよそほひをした一つの姿——若々しい、みやびやかな姿が立つてゐた。