)” の例文
三十七ねんぐわつ十四幻翁げんおう望生ぼうせい二人ふたりとも馬籠まごめき、茶店ちやみせ荷物にもつ着物きものあづけてき、息子むすこ人夫にんぷたのんで、遺跡ゐせきむかつた。
写真入しゃしんいれとなったバスケットは、ちゃのたなのうえかれたのでした。平常ふだんは、だれも、それにをつけるものもなかったのです。
古いてさげかご (新字新仮名) / 小川未明(著)
くだん古井戸ふるゐどは、先住せんぢういへつまものにくるふことありて其處そこむなしくなりぬとぞ。ちたるふた犇々ひし/\としておほいなるいしのおもしをいたり。
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
内山君うちやまくん足下そくか此位このくらゐにしてかう。さてかくごとくにぼくこひ其物そのもの隨喜ずゐきした。これは失戀しつれんたまものかもれない。明後日みやうごにちぼく歸京きゝやうする。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
『おまへ洋卓テーブルだとはらなかつたのよ』とあいちやんはつて、『それは三にんばかりでなく、もつと多勢おほぜいのためにかれてあるんだわ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
おとなしい新らしい白、みどりの中だから、そして外光の中だから大へんいいんだ。天竺木綿てんじくもめん、その菓子かしつつみはいて行ってもいい。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「あの若者わかもの毎日まいにちつっしたきり、ものべずにいる様子ようすだが、あのままいてかつえにになれでもしたら、おてらけがれになる。」
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
婦人は間もなく健康になって、かの一せきはなし土産みやげに都に帰られた。逗子の秋は寂しくなる。話の印象はいつまでも消えない。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
エヘヽヽ此辺このへんでは如何いかゞさまで。書生「ヤーこれいのー幾許いくらぢや、うむそれは安いの、うてかう。銭入ぜにいれからだいはらつて立帰たちかへりました。 ...
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼はもちっとで、ホームにりにされるところだったが、いそいで駈けつけたので、やっと最後の車に飛び乗ることが出来た。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まへ内外ないがい火山かざん巡見じゆんけんした場合ばあひ記事きじかゝげていたが、諸君しよくん兩方りようほう比較ひかくせられたならば、國内こくない火山作用かざんさようがいしておだやかであつて
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
宗助そうすけ福岡ふくをかから東京とうきやううつれるやうになつたのは、まつたこの杉原すぎはら御蔭おかげである。杉原すぎはらから手紙てがみて、いよ/\こときまつたとき、宗助そうすけはしいて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それから、しろきつね姿すがたをあらはした置物おきものいてありました。その白狐しろぎつねはあたりまへのきつねでなくて、寶珠はうじゆたまくちにくはへてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
それはまへ四角しかくうしろまるいといふ意味いみであります。このつか模型もけいとくいてありますから、それを御覽ごらんになるとよくわかります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
其處そこ乘組人のりくみにん御勝手ごかつて次第しだい區劃くくわく彈藥だんやく飮料いんれう鑵詰くわんづめ乾肉ほしにく其他そのほか旅行中りよかうちう必要品ひつえうひんたくわへてところで、固定旅櫃こていトランクかたちをなしてる。
責任せきにんといふことおもききたいのもこれがめ、依頼心いらいしんおほいのもこれめ、また意志いし強固きやうこでないといふのもこれめであらうとおもひます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
しかしそのとき周圍しうゐ事情じじやうは、病人びやうにんをKうちかしてことゆるさないので、ぐに何處どこへか入院にふゐんさせなければならなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
大和やまとくにのある山寺やまでら賓頭廬樣びんずるさままへいてあるいしはち眞黒まつくろすゝけたのを、もったいらしくにしきふくろれてひめのもとにさししました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
これまた、御本尊ごほんぞん羅刹らせつに申上て候。今日ほとけうまれさせまします時に、三十二の不思議あり、此事、周書異記云文しうしよいきといふふみにしるしけり。
足の弱いやつなんぞ相手にしていられるもんかと、自分の健脚けんきゃくまかせてさっさと友をりにして行ってしまいそうに思われる。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そのうち上座じやうざざう食事しよくじそなへていて、自分じぶんつて一しよにべてゐるのを見付みつけられましたさうでございます。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
わたしのハープはねむっていた寝台ねだいのすそにいてあった。わたしはかたに負い皮をかけて、家族のいる部屋へやへと出かけて行った。
ぼッ、ぼッ……と大廊下三げんきの金網ぼんぼり、風を吸って、あやうげに明滅しているが、油をいで廻る宿直とのいの影とて見当りません。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それでもまきつてわけにもかねえからいてつちやつた」勘次かんじみづかあざけるやうにからくちけてつめたいわらひうごいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たゞ何事なにごとはづかしうのみありけるに、しもあさ水仙すいせんつくばな格子門かうしもんそとよりさしきしものありけり、れの仕業しわざるよしけれど
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
全體ぜんたいつき何々なに/\といふふうに、かしらいてゐるために、幾分いくぶんうた上調子うはちようしになつてゐるが、眞底しんそこにはやはりよいものがあります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
しかし時計とけいはどうしたろう、それからポッケットにれていた手帳てちょうも、巻莨まきたばこも、や、ニキタはもう着物きもの悉皆のこらずってった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
藤吉とうきちが、あたふたとってしまうと、春信はるのぶ仕方しかたなしにまつろうまえいた下絵したえを、つくえうえ片着かたづけて、かるくしたうちをした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
香織かおりくしかしながらも、『折角せっかくこうしてきれいにしてあげても、このままつくねてくのがしい。』とってさんざんにきました。
ある日のこと、重吉じゅうきちはなにを思ったか、お父さんが大切にしまっていたものを、そっと取り出して、台所の片隅かたすみにかくしてしまいました。
とんまの六兵衛 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
わがはいはこれについて一げんべんじてきたい。年紀ねんき時間じかんはか基準きじゆん問題もんだいである。これは國號こくがう姓名せいめいなどの固有名こゆうめい問題もんだいとは全然ぜん/″\意味いみちがふ。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
そうしていて、なん容赦ようしゃもなく、このあわれな少女むすめを、砂漠さばく真中まんなかれてって、かなしみとなげきのそこしずめてしまいました。
其方共儀むこ夫等をつとら災難さいなんを歎き艱難辛苦かんなんしんくの上公儀巡見使じゆんけんしうつたへ出申立明了あきらかなるにより善惡判然と相あらはれ九助の寃罪ゑんざいそゝぎし信義しんぎ貞操ていさうの段厚くほめ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此差このさおよそ二年半餘はんあまりにして一月ばかりなるゆゑ、其時そのときいた閏月しゆんげつき十三ヶ月を一年となし、地球ちきうすゝんもとところ行付ゆきつくまつなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
なんでもだい奉直戰爭ほうちよくせんさうときなどは自分じぶんはう旗色はたいろがよかつたせゐもあつただらうが、戰線せんせんのことは部下任ぶかまかせにしていて
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
冬時とうじこのかは灌水くわんすゐおこなふには、あらかじ身體しんたいるゝに孔穴こうけつこほりやぶりてまうき、朝夕あさゆふこの孔穴こうけつぼつして灌水くわんすゐおこなふ。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
解禁後かいきんご國民こくみん覺悟かくごついひろ國民こくみん理解りかいくことは將來しようらい金本位制きんほんゐせい維持ゐぢもつと必要ひつえう事項じかうかんがふるところである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
つまり根氣こんきくらべだね。しか如何いかなる人物じんぶつでも、毎日々々まいにち/\葉書はがきてられちやはふつてけないものとえるなア。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
梅の小枝に妙な物がと目をとめて見ると、かわず干物ひものが突刺してある。此はイタズラ小僧の百舌鳥もずめが食料にしていて其まゝ置き忘れたのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
なほ國土こくど保安ほあんのために森林しんりん一部いちぶを『保安林ほあんりん』といふものにして、永久えいきゆうらないでくようにもなつたのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
甚兵衛じんべえ不思議ふしぎに思いましたが、ともかくもさるのいうとおりにして、三日間人形部屋べやふすまめ切ってきました。さるはどこかへ行ってしまいました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
しやうき、(八九)田文でんぶんしやうとせり。呉起ごきよろこばず。田文でんぶんつていは(九〇)こうろんぜん、ならんか』と。田文でんぶんいはく、『なり』と。
現に我々の使用しようする水瓶みづがめに比しては其容量ようりやう誠に小なりと云ふべし。おもふにコロボツクルは屋内おくないに數個の瓶鉢類を並列へいれつして是等に水をたくわきしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
きみきらひだつたいぬ寢室しんしつにはれないでくから。いぬへばきみは、犬好いぬずきのぼつちやんの名前なまへぼく使つかつたね。
「三つの宝」序に代へて (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
譜本ふほんうたうたふやうに、距離きょり釣合つりあひちがへず、ひいふういて、みッつと途端とたん敵手あひて胸元むなもと貫通ずぶり絹鈕きぬぼたんをも芋刺いもざしにしようといふ決鬪師けっとうしぢゃ。
五年も大原君とその娘とを遠く引離してけばそのうちに自然と形勢も一変する、田舎娘の熱情は一時性のものだ、決して覚悟のある永久性のものでない
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
赤良顔あからがほもしばし煙管きせるいてかなしえた、あゝなんと云ふ薄命ふうんをんなであらうとわれも同情の涙にえなかつた
夜汽車 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)
けれど、このシャツのままでっちゃってかれないのは、もう目に見えていた。仕方しかたなしに箪笥たんすをあけて、まだそでとおさないあたらしいシャツをとり出した。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
朝飯あさめし昼飯ひるめしをすませた後、僕は書斎の炬燵ごたつへはいり、二三種の新聞を読みはじめた。新聞の記事は諸会社のボオナスや羽子板の売れ行きで持ち切っていた。
年末の一日 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
きみちやんや、かあさんがするからもういゝかげんにしておき、にいさんがはいれたさうだよ、よかつたねえ。』と、あとは自分自身じぶんじしんにいふやうに調子てうしおとして
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)