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失戀
内山君足下、
先づ
此位にして
置かう。さて
斯の
如くに
僕は
戀其物に
隨喜した。これは
失戀の
賜かも
知れない。
明後日は
僕は
歸京する。
しからば
矢張失戀であらう!
僕はお
絹を
自分の
物、
自分のみを
愛すべき
人と、
何時の
間にか
思込んで
居たのであらう。
『お
絹さんは
最早居ませんよ、』と
言ひ
捨てゝばた/\と
逃げて
去つた。
哀れなる
哉、これが
僕の
失戀の
弔詞である!
失戀?、
失戀が
聞いてあきれる。