“絹”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
きぬ86.5%
ぎぬ4.1%
シルク2.7%
リボン1.4%
いと1.4%
かいこ1.4%
すずし1.4%
もみ1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
『お絹(きぬ)さん!』と僕(ぼく)は思(おも)はず手(て)を擧(あ)げた。お絹(きぬ)はにつこり笑(わら)つて、さつと顏(かほ)を赤(あか)めて、禮(れい)をした。人(ひと)と車(くるま)との間(あひだ)は見(み)る/\遠(とほ)ざかつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
几帳の垂(た)れ絹(ぎぬ)を引き上げて源氏が中を見ると、夫人は美しい顔をして、そして腹部だけが盛り上がった形で寝ていた。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それでもその顔色はまただんだんに悲しみの色になり、眼には涙を宿して、のちには寝台の上に身を投げ出して絹(シルク)のクッションに身を隠すように俯伏(うつぶ)した。
とんとんと二段踏むと妹の御太鼓(おたいこ)が奇麗(きれい)に見える。三段目に水色の絹(リボン)が、横に傾いて、ふっくらした片頬(かたほ)が入口の方に向いた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私が書物ばかり買うのを見て、奥さんは少し着物を拵(こしら)えろといいました。私は実際田舎(いなか)で織った木綿(もめん)ものしかもっていなかったのです。その頃(ころ)の学生は絹(いと)の入(はい)った着物を肌に着けませんでした。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「父(ちゃん)!」庄太郎が、にやにやして、「いいものが手に入ったぜ。さあ、これからおいらの家は、金持ちになる。おいらなんか、お絹(かいこ)ぐるみで、あっはっはっは——。」
例えば毒殺の嫌疑を受けた十六人の女中が一室に監禁され、明日残らず拷問(ごうもん)すると威(おど)される、そうして一同新調の絹(すずし)のかたびらを着せられて幽囚の一夜を過すことになる。
西鶴と科学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
木枯にいたんだ筒井の顔は、袿(うちぎ)の裏絹(もみ)をひるがえすように美しいくれないであった。美しすぎるのに貞時の心づかいがあったのだが、筒井は笑ってやはり止(や)めなかった。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)