“俯伏”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うつぶ62.9%
うっぷ9.7%
うつぶし8.6%
うつぶせ8.1%
うつふ1.6%
うつむ1.6%
うつふし1.1%
つっぷ1.1%
ひれふ1.1%
うっぷし0.5%
うつぷ0.5%
うつぷし0.5%
うつむけ0.5%
つゝぷ0.5%
つッぷ0.5%
ひれふし0.5%
ふふく0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かれは息を切って、逃げて、逃げて、柴井町の自分の店さきまで駈けて来て、店のかまちへ腰をおろしながら横さまに俯伏うつぶしてしまった。
影を踏まれた女 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一目それを見た倭文子は、余りの怖さに、ヒーッと、泣くとも叫ぶともつかぬ声を立ててたもとで目かくしをしたまま、俯伏うっぷしてしまった。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
今までは神経痛のために仰臥することが出来ずに、おほむね炬燵こたつ俯伏うつぶしになつてゐたのが、昨夜以来は全く仰臥の位置のままだといふことである。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
彼女は、寒むそうに肩をすぼめると、テントの裏側の、暑い砂の上に、身を投げるように、俯伏うつぶせになったまま、のびのびと寝た。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
たちまち正道は縛られた縄が解けたように垣のうちへ駆け込んだ。そして足には粟の穂を踏み散らしつつ、女の前に俯伏うつふした。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
兵馬はそんなことを考えると頭が重くなって、経机きょうづくえの上に両手でその重い頭を押えて俯伏うつむいた時、ハラハラと涙がこぼれました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
たてに受ると見えしが無慘むざんや女は一聲きやつとさけびしまゝに切下げれば虚空こくうつかんでのたうつひまに雲助又もぼう追取おつとり上臺がひざを横さまにはらへば俯伏うつふしに倒るゝ所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
両手を組んでいるのもあり、なえつかれたようになって、俯伏つっぷした女も見えた。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
灸所きゅうしょの痛手に金眸は、一声おうと叫びつつ、あえなくむくろは倒れしが。これに心の張り弓も、一度に弛みて両犬は、左右にどう俯伏ひれふして、霎時しばしは起きも得ざりけり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
すると森本は倦怠だるそうに浴槽のふち両肱りょうひじを置いてその上に額をせながら俯伏うっぷしになったまま
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
謙信はあたうかぎり馬上の半身をかがませて、面をたてがみ俯伏うつぷせていた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と布団を引剥ひっぱいで見ますと、今年二十五になります現在おのれの実子早四郎が俯伏うつぷしになり、のりに染って息が絶えているのを見ますと、五平は驚いたのなんのではございません、真蒼まっさおになって
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と言うより身震みぶるいせしが、俯伏うつむけにゆらめく挿頭かんざし、真白きうなじ、手と手の間を抜けつ、くぐりつ、前髪ばらりとこぼれたるがけざまに倒れかかれる、もすそ蹴返しかかとを空に、下着のくれない宙を飛びて
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つひにはにしたかま刄先はさきすこしづゝつちをほじくりつゝをんなしろ手拭てぬぐひはし微動びどうさせては俯伏つゝぷしなから微笑びせうしながら際限さいげんもなく其處そこ凝然ぢつとしてようとする。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
吉里は袖を顔に当てて俯伏つッぷし、てるのか眠てないのか、声をかけても返辞をせぬところを見ると、眠てるのであろうと思ッて、善吉はじッと見下した。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
悪魔また彼を最高いとたかき山に携えゆき世界の諸国とその栄華えいがとを見せてなんじもし俯伏ひれふして我を拝せばこれらをことごとくなんじに与うべしと曰う
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
臣謹んで俯伏ふふくして命をつ、と言辞を飾り、情理をいろえてぞ奏しける。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)