“凝然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぎょうぜん44.6%
じっ31.3%
ぢつ8.0%
じつ8.0%
じいっ1.8%
ぎようぜん1.8%
じつと1.8%
ぎょうせん0.9%
じっと0.9%
ぢいつ0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして、さっき佛間でしていたように凝然ぎょうぜんと端坐して、とき/″\屍骸の方を見ては又半眼に眼を閉じて沈思し出したのであった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
パチリとはしないが物思に沈んでるという気味があるこの眼に愛嬌あいきょうを含めて凝然じっ睇視みつめられるなら大概の鉄腸漢も軟化しますなア。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
液汁みづしたばかりにやちつたえてえとも、そのけえしすぐなほつから」勘次かんじはおつぎを凝然ぢつてそれからもういびきをかいて與吉よきちた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
藤田は立止つて凝然じつ此方こつちを見てゐる樣だつたが、下げてゐた手拭を上げたと思ふ間に、道路は少し曲つて、並木の松に隱れた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
つまり、羚羊と同じに、運動神経が痲痺して動けなくなったまでの事で、その眼は凝然じいっと、怖ろしい殺人模様を眺めていたんだ
夢殿殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
頭上の紫藤しとうは春日の光りを揺りて垂れ、藤下とうかの明子は凝然ぎようぜんとして彫塑てうその如くたたずめり。予はこの画の如き数分の彼女を、今に至つて忘るる能はず。
開化の殺人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
彼はとびに不意に頭骸骨を空にさらはれたかのやうな、気抜けな有様で、穴のあくほど水島の顔を、暫らくは凝然じつと見てゐた。
塩を撒く (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
君は、芥子けしつぶほどの蟹を見たことがあるか。芥子つぶほどの蟹と、芥子つぶほどの蟹とが、いのちかけて争っていた。私、あのとき、凝然ぎょうせんとした。
凝然じっと黙って居た二人は、同じ様に肩を顫わせてしくしくとき始めたのであります……。
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
「それ、そこはうまはつてこぼれらな」勘次かんじ先刻さつきから、おこつたやうなはにかんだやうな、なんだか落付おちつきわる手持てもちのないかほをして、かへつ自分じぶんをば凝然ぢいつもせぬ卯平うへいかられるやうに
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)