“鳶”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とび77.5%
とんび21.0%
トビ0.7%
0.4%
だこ0.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
紺いろの空に、とびが一羽、ゆう々と輪をえがいて、気のせいか、道ゆく人のたもとをなぶる風にも、初春らしいのうごきが見られる。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
山上で人々はよろいを身に着直した。——そして全軍を三隊にわけ、一は中山なかやまの敵塁に朝討ちをかけ、一はとびへ馳せ向った。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とびの者、手代たちが、しっかと抱きしめていても、それを擦り抜けて、今や、炎々と燃えさかっている、火の中をめがけて突進しようと狂いもがく。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
飛んでゐる五六羽の鳥はとびだかがんだか彼れの智識では識別みわけられなかつたが、「ブラツクバード」と名づけただけで彼れは滿足した。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
しかし風のない晴れた日には、御堀おほりどての松の梢が自ずと霞んで、英国大使館の旗竿の上にとびが悠然と止まっているのも此頃です。
二階から (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さっきまでは居る影さえしなかったとんびが、いつの間にかすぐ目の前で五六度を描いて舞ったかと思うと、サッと傍の葦間へ下りてしまう。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
戸山ヶ原にも春の草がえ出して、その青々とした原の上に、市内ではこのごろ滅多に見られない大きいとんびが悠々と高く舞っていた。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その場から、彼女は、助九郎に連れられて、日ヶ窪の柳生家へ救われて行った。もちろんとんびに油揚をさらわれた形の又八も、黙っている筈はなかったが、
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「小崎の姉さまも一ト晩どうだね。」と、田舎の小父は大きな帽子のついた、帯のあるとんびを着ながら、書類の入った折り鞄を箪笥の上にしまい込んで、出がけに母親に勧めた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ぐのはさぎでもとんびでもかまはん。がせるのは人間にんげんぢやいのだらう。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
旧来の通称の儘のは、茶珍チヤチン徳珍トクチン鈍宝ドンボオ道木ドオキ綿帽子ワタボオシ仕合シヤワセ午造ゴゾオ宝楽ホオラクカミナリトビ鍋釜ナベカマなどいふ、思案に能はぬのもある。
三郷巷談 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
——寺院、坊舎バウシヤ、商家、民屋マデ空袋アキブクロノ底ヲサグルガ如ク、残ラズ捜シ出サレ、五十、七十ト高手小手タカテコテニ縄ヲカケ、袖ヨリ袖ヘ縄ヲ通シ、珠数ツナギニ一群レヅツ札ヲツケテ、本陣ヘ引キ参リ、或ハ駅所駅所ニテ、立チ所ニ斬リ、トビヤ烏ノ餌食ヱジキニマカセラル。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
春になると子供が紙をあげるのに、「山の神さん風おくれ」というところもあれば、また「山んぼ風おくれ」といっている土地もあります。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
漁史は、手応の案外強きに呆れ、多少危懼せざるに非ざれども、手繰るに従いて、徐々しずしず相近づくにぞ、手を濡らしつつ、風強き日の、十枚紙だこなど手繰る如く、漸く引き寄す。
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)